大関復帰を狙う関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、圧倒的な相撲で6勝目を挙げた。小結御嶽海の両前みつを取り、動きを封じて寄り切る完勝劇。幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)も評価する文句なしの内容。大関昇進の目安「三役で3場所33勝」まであと3勝とした。2大関が敗れる中、横綱不在の場所を大関経験者が引っ張る。

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大関時代をほうふつとさせる相撲で、照ノ富士が完勝した。立ち合い力強く踏み込んで左前みつを取り、すぐに右前みつも取って勝負あり。動きを封じた御嶽海の体に頭をつけながら、じりじりと土俵際へ運び、何もさせずに寄り切った。「まわしが取れたのが良かった。ずっとそれ(まわしを取ること)を磨いてますから」。理想通りだった。

土俵下で取組を見守った幕内後半戦の藤島審判長も舌を巻いた。「大関陣よりも大関らしい相撲。力強い。あの格好で両前みつを取って頭をつけられたら、それはもう、御嶽海も何もできないでしょう」と評価。今場所はここまで、3大関がそろって白星を挙げた日はない。この日も2大関が敗れた。大関経験者への高い期待がうかがえる。

後輩たちと一緒に、勝利を重ねる。甲子園の選抜高校野球では、母校・鳥取城北が1回戦突破。この話題を振られると「少しでも自分の勝ちが、みんなにいい意味でプレッシャーになれば」とエール。自身は大関復帰の目安まで、残り3勝。母校の2回戦が行われる予定の12日目(25日)までに目安を達成して、甲子園の後輩に、さらにいい刺激を与えたい。

8日目は高安との一番が組まれた。ともに1敗で、大関経験者。藤島審判長も「もったいない。もうちょっと後でもいい取組。好調同士だからいい取組になると思う」と話すなど、注目の一番。大関復帰、そして3度目優勝へ、まずは、意地と意地のぶつかり合いを制する。【佐々木隆史】

▽八角理事長(元横綱北勝海) 照ノ富士は相当、落ち着いていた。あれだけ引きつけているから、ゆっくり出ても問題ない。あれだけ引きつけて柔らかさもあるから相手はどうすることも出来ない。朝乃山は(霧馬山の立ち合いを)警戒しないといけなかった。不用意で集中力に欠けていた。