志村けんさん(享年70)が亡くなってから、29日で1年になる。志村さんが愛していた捨て犬のちびは、大相撲の朝日山部屋が2017年4月に引き取ってから、今も元気に過ごしている。

ちびは、日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」で有名になった。今はすっかり、朝日山部屋の一員だ。朝日山親方(元関脇琴錦)は「昼間は自分の小屋で寝てますが、夜は弟子と大部屋で寝ています。ちょっとわがままに育ってしまったかなというのはあります(笑い)」と近況を口にした。力士たちが交代で、ちびを散歩に連れて行っているという。

志村さんが亡くなってからの1年間はコロナ禍にあり、力士たちは自由に外出できなくなった。ストレスがたまるはずの生活だが、ちびが癒やしの存在になっていた。朝日山親方は、こう説明する。

「うちには、高校に行けなかったとか、中学も通えなかった子がいます。でも、家では動物を飼っていた子が多くて、家に帰れなくて自分の犬や猫に会えないつらさを、ここでまぎらわせている。何も言わなくてもエサもチェックするし、散歩にもいく。気持ちのやさしい子の集まりなんですよ。だから部屋の中での争い事は一切ない。稽古は1日のうちで、2、3時間。それが終わったらずっと癒やしの空間ですよ」

今では近所の猫もやってきて、多いときは10匹前後が部屋に出入りしている。おとなしいちびは、動じることなくゆったりしているという。朝日山親方は、志村さんの兄が「ちびは元気かな?」と心配していることを、知人を介して聞いた。力士にかわいがられ、ちびは力士と一緒に成長している。【佐々木一郎】