日本相撲協会審判部は1日、来年1月の初場所(9日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、琴裕将(27=佐渡ケ嶽)の新十両昇進を決めた。千葉・松戸市の部屋でオンラインでの会見に臨んだ琴裕将は「うれしいのもあるけど、これからもっと気を引き締めないとという気持ち」と心境を語った。

異色の経歴を持つ。奈良県橿原市出身で、学生時代はレスリングで活躍。奈良・大和広陵高3年時は、国体のフリースタイル120キロ級で優勝した。法大でもレスリング部に所属していたが、15年の3年時に中退。一念発起して16年春場所で初土俵を踏んだ。

佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)とは小学生の時から関わりがあった。わんぱく相撲の全国大会に出場した際に佐渡ケ嶽部屋に宿泊。それ以来、中学、高校を卒業するタイミングで入門のスカウトを受け、そのたびに断ってきた。琴裕将から電話がかかってきたのは、部屋の琴奨菊(現秀ノ山親方)が幕内優勝した16年初場所後だった。「(大学で)レスリングがうまくいかなかったこともあるけど、体1つで、というのはやっぱり魅力があった」と琴裕将。会見に同席した師匠も、当時を振り返り「『今からでも遅くないですか』と連絡がきた。本人も相撲を諦めきれないと言っていた。『これるならすぐいいぞ』と言った」と歓迎したという。

入門から5年半での昇進となった。西幕下筆頭で臨んだ九州場所は4勝3敗。7場所連続の勝ち越しとなり、急成長を遂げている。突き押しともろ差しが得意だが、昇進の要因は「うまく気持ちを持っていけるように、リラックスできるようになってきた」と精神面を挙げる。「部屋の見本になれるように頑張りたい」と初々しい笑顔を見せた。