初優勝は逃しても、将来的な大関候補として存在感は示した。西前頭6枚目の阿炎(27=錣山)が、11勝3敗で並んでいた琴ノ若との“生き残り戦”を引き落としで制し、結びの結果に望みをつないだ。幕内28年ぶりのともえ戦へ、支度部屋で約1時間、待ち続けたが優勝決定戦は消滅した。

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待っている間を「何も考えず、今日の相撲を自分の中で繰り返していました」と言いつつ、「本音を言うならチャンスがあったかなと思う」と悔しさもにじませた。先場所に続く優勝次点とはいえ、3差から1差の違いは大きい。横綱照ノ富士から金星をあげての連続12勝、そして初の殊勲賞を「うれしい。しっかり自分を出せたのかなと思う」と素直に表現した。

三役復帰、そして新関脇も見えてきた。三役は2年前の初場所以来となるが、相撲内容がまるで違う。20年7月場所中の日本相撲協会ガイドライン違反で3場所の出場停止。自分を見つめ直し、ひたすら四股を踏んだ。きれいに足が上がる四股を踏むが、見た目に中身が伴ってきた。以前は簡単に引き技にいったが、安定した下半身で徹底して突き放す攻めの相撲になった。

長い手足という武器があり、将来的な大関候補にも返り咲く。「少しずつ変化してきたのかと思う」と話し、「(三役は)考えずに次の場所に向けて調整したい。15日間分の相撲を明日から見て、課題を見つけて来場所に向けて直していく」とキッパリ。やんちゃだった過去は葬り、相撲道だけを歩む。【実藤健一】