再起への第1歩は、しこ名も改め三段目上位から-。日本相撲協会は27日、大相撲名古屋場所(7月10日、初日ドルフィンズアリーナ)の新番付を発表し、大関経験者で6場所連続出場停止処分が今場所で解除される朝乃山(28=高砂)は、西三段目22枚目での土俵復帰となった。また、しこ名の「朝乃山英樹」も、下の部分を「朝乃山広暉(ひろき)」と本名に変え心機一転で再起の土俵に上がる。

朝乃山は、日本相撲協会が定めた新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反し、大関時代の昨年名古屋場所から6場所出場停止処分を受けた。その名古屋場所は、かど番大関だったため秋場所は関脇、九州場所は平幕の西前頭10枚目に番付を落とした。今年初場所では、17年秋場所から維持していた幕内の座からも陥落し、4年半ぶりの十両となる東十両4枚目に番付を降下。3月の春場所ではついに幕下に陥落(西幕下2枚目)し、関取の座も失った。全て全敗扱いのため、西幕下2枚目から5月の夏場所は同42枚目に降下し、今場所は東西で各90枚目まである三段目の西22枚目に位置された。

朝乃山は16年春場所、三段目100枚目格付け出しで初土俵。幕下に入るまで3場所かかったため、三段目は16年名古屋場所以来、6年ぶりとなる。また初土俵から新十両昇進までの6場所で、しこ名は本名の「石橋広暉」だった。新十両昇進(17年春場所)を機に、しこ名を「朝乃山英樹」に改名。部屋伝統の「朝」に故郷の「富山」、同郷の横綱「太刀山」などから「朝乃山」に。下の部分は、富山商高時代の恩師で相撲部監督だった浦山英樹さん(故人)の「英樹」から取った。今回の改名は、しこ名の下の部分ではあるが、出場停止期間中の昨年8月に64歳の若さで急死し、土俵復帰を見届けられなかった父・靖さんの無念の思いを胸に、その父が付けてくれた本名の名前で心機一転しようという、朝乃山本人の強い思いがうかがえる。