21年の学生相撲選手権で学生横綱に輝いた日大出身の川副圭太(23)が22日、都内の宮城野部屋で開かれた、入門会見に参加した。

幕下15枚目格付け出し資格を持つ川副は「大相撲の世界に入ったからには、関取になるとか幕内に上がるとかではなくて一番上を目指したい。横綱になりたいという気持ちしかないので、そこを目指したい」と堂々と言い切った。

熊本・宇土市出身の川副は、熊本・文徳高時に国体優勝、日大では学生横綱に輝くなどの逸材だ。身長165センチ、体重110キロと小兵ながら、前に出る圧力に加えて、柔軟な体を武器に多彩な技を繰り出す。中学時代には師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)が主催する「白鵬杯」での優勝経験を持つ。「そういうつながりがあって(宮城野部屋に)入門した。小兵の石浦関や炎鵬関を見て強くなれると思った」と兄弟子の十両炎鵬と石浦の存在も、宮城野部屋に入門するきっかけになったようだ。

学生横綱にまで上り詰めた川副だが、相撲を始めたのはある敗戦がきっかけだった。保育園時代に地元で開催された相撲大会に出場。そこで初めて相撲を取ったといい「女の子に投げられちゃって。一本背負いみたいな感じで。その時は遊び感覚だったけど“この子に勝つまでは絶対に相撲を辞められない”っていうのがまずあった。そこからどんどん相撲にのめり込んだ」と告白。水泳などの他の習い事は全て辞めて、小学1年から相撲一筋に。再戦を誓った女の子とはその後に会うことはなかったが「今でも感謝しています。相撲の世界に導いてくれて」と振り返った。

宮城野親方からは「小さい白鵬を見ている感じ」と期待された。日大時に右アキレス腱(けん)部分断裂、右ハムストリング筋断裂の重傷を負うなどし、入門時期が遅れたが「この日を迎えられた本当にうれしい」と待ちに待った様子だった。小兵力士だが「小さいころから1番小さい選手だった。大きい時代がなかった。どれだけ大きい相手が来ても絶対に気持ちの部分で負けないのが課題」と力強く語った。

秋場所の新弟子検査で合格すれば、同場所で幕下15枚目格付け出しでデビューする。関取に昇進するまではしこ名は本名のまま。16年の熊本地震により自宅が全壊した経験を持つ川副は「熊本のためにもっと上を目指して熊本の人たちに元気とか勇気を与えていけたらいいなと思う」と故郷を思いやった。