大相撲の珍しい決まり手を再編集した。9月の秋場所前に「令和になってから幕内で1度もない決まり手」をまとめたところ、27手あった。決まり手ではない「勝負結果」の踏み出しも令和になってから1度もない。ところが、秋場所では、この27手のうちの1手が出た。

秋場所4日目に宇良が、「伝え反り」で宝富士に勝った。これは2002年(平成14年)秋場所で朝青龍が貴ノ浪に決めて以来、幕内で20年ぶりの大技だった。

九州場所を迎えるにあたって伝え反りをリストから外し、「令和になってから幕内で1度もない決まり手」を再編集した(添付した画像を参照ください)。

現在、大相撲の決まり手は82手あり、「掛け反り」「撞木(しゅもく)反り」「外たすき反り」の3手は、十両以上の取組で1度も決まったことがない。日本相撲協会は1955年に68手を発表し、1960年1月には河津掛けを切り返しから独立させ、出し投げの上手と下手を分けて70手とした。2001年初場所からは、決まり手12を追加。決まり手ではない「勇み足」「腰砕け」の勝負結果には「つき手」「つきひざ」「踏み出し」の3つを追加した。「掛け反り」「撞木反り」「外たすき反り」は、当初の68手に含まれていたため、この3手は67年間も生まれていない「幻の技」とも言える。

「たすき反り」「つかみ投げ」「大股」は、1950年代から1度も出ていない(たすき反りは2017年に宇良が十両で決めた)。

この記事についている一覧表が手元にあれば、本場所で決まった直後、「いつどの場所の何日目の誰以来」なのかが瞬時に分かる。ぜひ観戦のお供に利用していただきたい。【佐々木一郎】