大相撲九州場所は13日、福岡国際センターで初日を迎える。新入幕を果たす熱海富士(20=伊勢ケ浜)は、しこ名の通り静岡・熱海市出身。静岡・飛龍高を卒業して初土俵から所要12場所での入幕は、年6場所制となった1958年以降では小錦、朝青龍らと並ぶ8位のスピード昇進。幼い頃から驚異の食欲の持ち主で、新入幕場所でも大物食いを狙う。

母の奈緒さんによると、中学時代には毎食4合近くの米を平らげ、牛乳1リットルを飲み干していたという。「食事前に腹を膨らませるため、豆腐1丁を食べさせても、食欲が全然落ちない。着る服もサイズがどんどん大きくなるから、季節ごとに買い替えました」と笑みを交えて振り返った。

3年間指導した静岡・飛龍高相撲部の栗原大介監督は「『食力』は卒業生の中でもトップクラス」と目を見張る。3年間で130キロから40キロ増量したといい「大きくなっても決して鈍ることがない。自分の取り口に合わせて体を大きくしながら、積極的に稽古に取り組んでいた」とたたえた。

人口3万人余りの熱海市から幕内力士が出たことに、地元も盛り上がる。今年3月には後援会もできた。熱海富士は「熱海の代表として出ているので、下手な相撲は取っていられない。もっと頑張って熱海の名前が広がれば」と新入幕からの大暴れを誓った。初日は平幕の平戸海(22=境川)と対戦する。【平山連】