角界を去る同学年のライバルが、来場所十両復帰が濃厚な朝乃山への思いを語った。

大相撲の元幕内で十両の豊山(29=時津風)が29日、オンラインで引退会見に臨み、6年半にわたる現役人生を振り返った。三段目最下位格(100枚目)付け出しの資格を得て初土俵を踏んだ16年春場所の一番相撲で、同じく三段目最下位格付け出しデビューとなった近大出身の石橋(現朝乃山)と対戦。学生時代からしのぎを削ってきた相手に「彼は僕の相撲人生で一番大きかった」と強調した。

悩まされてきた腕の痛みにより先に引退を決めた豊山は「彼よりも強くなりたいという気持ちがあったから、どんどん上にいけた。朝乃山には感謝じゃ足りないのかな」。引退を延ばせば再戦できるチャンスもあった。それだけに「お互いに力と力をぶつけ合って戦いたかった。それは1つ心残りだったかな」と本音も漏れた。続けて「どんどん活躍して相撲界を盛り上げてくれると思う。陰ながら応援していきます」とエールを送った。

引退を決める理由となった腕の状態について「昨年3月に右腕の上腕二頭筋のけんを切って、日常生活でも痛みがあった。思うように15日間相撲が取れず、日常生活でも支障がきた」。中途半端な気持ちで土俵に上がりたくないと、九州場所前に師匠の時津風親方(元前頭土佐豊)に腕の痛みが限界を超えていると伝えた。

12日目に剣翔に敗れて負け越しとなり、その翌日に同親方に引退を決めたことを報告。「現役中は多くの人に背中を押していただき、ここまで取ることができました。千秋楽の日まではいろんな思いがあったんですけど昨日引退が発表されて肩の荷が下りた」と晴れ晴れとした表情を見せた。

今後は協会に残らず、都内でパーソナルトレーナーとして活動するという。「現役中にたくさんケガをして、体のことを勉強してどういう風に動かしたらいいか考えた時にこの職業が頭に浮かんだ」と選択の理由を説明。相撲界で学んだ基礎運動なども教えていきたいといい「相撲はすごく素晴らしいものだと思いますし、身近に感じてもらえれば応援してもらえる。いろんな方に体験してもらえたら」と構想を明かした。【平山連】