25日の「吉田秀彦引退興行~ASTRA」で総合格闘技を引退した吉田秀彦氏(40)が、柔道界復帰を見据えた世界行脚を展開する。29日に東京・日本武道館で行われる柔道の全日本選手権視察を皮切りに柔道家としての活動をスタートする。5月には米国を訪問し、以降もフランス、ドイツなどを視察する予定。各国で柔道に携わる知人や恩師、指導者と面会しながら充電し、11年5月以降の柔道界カムバックに備える。

 吉田氏が日本武道館から柔道人生第3幕の第1歩を踏み出す。引退後、初の活動として29日に日本武道館で行われる全日本柔道選手権を視察することが決まった。同選手権は02年に柔道選手のラスト試合を行った大会。総合格闘技からの引退戦も開催した会場から再スタートを切る。J-ROCK國保尊弘社長(41)は「吉田にとって武道館は因縁の場所。そこから柔道界復帰を目指して動きだします」と明かした。

 柔道の現役時代、小川直也らと名勝負を繰り広げた柔道日本一を決める無差別級大会の視察は、吉田氏の気持ちを高揚させるに違いない。その熱い思いを胸に秘め、来月上旬には米国を訪問。現地で柔道の指導を行いながら柔道関係者と接触する予定だ。國保社長は「吉田が柔道を通じて知り合った柔道の指導者や知人が海外にいる。彼らを訪問することが柔道界復帰の準備になる」と解説した。

 指導者として全日本柔道連盟に再登録するには1年間が必要となる。その1年間を最大限に活用するため、吉田氏は世界の柔道を吸収しながら充電する意向を持っている。5月の米国訪問以降、9月に東京で行われる世界柔道選手権も視察する見通し。その後、世界各国で行われるGPやW杯、グランドスラム大会も視察する意向を固める。國保社長は「世界を歩いて柔道を吸収し、柔道を伝える。それが復帰の土台になる」と説明。11年5月以降、実業団の指導を念頭に置く吉田氏が全日本選手権を出発地に世界を行脚する。【藤中栄二】