[ 2014年6月13日9時28分 ]PK判定の西村主審に抗議するクロアチアの選手たち(撮影・PNP)<W杯:ブラジル3-1クロアチア>◇1次リーグA組◇12日◇サンパウロ

 開幕戦のピッチに、濃紺に赤のアクセントが入ったユニホームを着た3人の日本人が立った。西村雄一主審(42)と相楽亨(37)、名木利幸(42)の両副審は、目の肥えたブラジルのサポーターらで超満員のサンパウロ・アリーナで日本の審判団として初の大役を果たした。

 西村主審が開幕戦の担当に決まると、地元メディアは一斉に前回大会の準々決勝でブラジル選手を退場させた「因縁」の審判員であると報じた。精神的に負担の大きい試合だったが「重圧は自分でつくってしまうもの」と語っていた通り、難しい場面でも冷静に試合をコントロールした。

 後半24分、ゴール前でクロアチア選手が背後から手をかけて、ブラジルのフレジ選手が倒れた場面で迷わずPKを与えた。普段は選手に穏やかな笑顔で接するが、クロアチア選手の抗議は厳しい表情ではねのけた。

 ひと昔前のブラジルならば、サッカー下手の代名詞だった「ジャポネス(日本人)」が、これほど大事な一戦で笛を吹くことは考えられなかっただろう。近年の日本サッカーの成長とともに、日本の審判員のレベルアップを印象づける抜てきとなった。

 「サッカーを愛するブラジルでのW杯に行けること自体が楽しみ」とブラジル戦の担当を熱望していた相楽副審と、「フェアプレーで始まりフェアプレーで終わるのが望み」と語っていた名木副審も、無事に役割を果たした。