[ 2014年6月11日7時6分

 紙面から ]ここにパスをちょーだいといわんばかりの表情でポーズを取る長友(右)。左は酒井高

 W杯本番で真の姿を披露する!?

 日本代表DF長友佑都(27=インテルミラノ)が、14日(日本時間15日)のW杯1次リーグ初戦コートジボワール戦(レシフェ)に向け、「今は仮の長友。W杯では本当の長友佑都を見せられる」と“長友語録”で意気込みを語った。10年W杯南アフリカ大会以来、積み上げてきた実績と実力。コートジボワール戦で対面するFWジェルビーニョ対策も明かすなど、自信を示した。

 「長友語」がさく裂した。イトゥ市のベースキャンプ地での初練習となった9日、合同取材を受けた長友は「今、自分の中にもう1人の、本物の長友佑都がいる。今は仮の姿。W杯では本当の長友をみなさんに見せられると思います」と不敵に笑った。

 どこかで似たようなセリフを聞いたような…。そう言えば、日本代表のチームメートのFW本田が、ACミラン入団会見で移籍決断の理由を説明した際「心の中で、私のリトル・ホンダに聞きました」と口にしていた。盟友の名言に引っかけたような言葉だった。

 ただ、そこには深い意味があるようだ。10年W杯南アフリカ大会で決勝トーナメント1回戦で敗れたあの日から4年。体幹強化に励み、名門インテルミラノでは名手DFサネッティから世界で戦うための精神面を学んだ。4年間積み上げてきたものをベースに、W杯という世界の舞台で、まだ見ぬ自分の可能性を引き出される期待を抱いている。

 当然、対戦国対策の具体像も浮かべている。1次リーグ初戦のコートジボワール戦では、ローマ所属のサイドアタッカーFWジェルビーニョと対面することが濃厚。セリエAで対戦した経験があり「走る速さとドリブルの速さが同じ。スペースを与えるとそこを突いてくるので、スペースを与えてはいけない。セリエAで抑えたのもチームの連動があったからこそ。個人では1対1でつぶしたいけど、まずはチームの連動を高めたい」と説明した。

 外国人記者からイタリア語で「8強以上に進めると思うか?」という質問には「僕は試合で負けたくないので、常にトップを目指している」と、あらためて頂点を狙う心意気を流ちょうなイタリア語で返答。日本の報道陣に翻訳するなど、余裕も見せた。

 「個人として最高のコンディションに持っていくこと。コンディションには限界がないと思うので、まだまだ伸びると思う」。100%、いや120%のコンディションでW杯本番に臨めば、今まで見たこともないような「リアル・ユート」が世界に披露されるかもしれない。【菅家大輔】<長友の成長の軌跡>

 ◆セリエA挑戦

 10年W杯南アフリカ大会でカメルーンFWエトーを完璧に抑えるなど活躍が評価され、大会直後の7月14日に東京からチェゼーナへレンタル移籍。開幕戦から先発フル出場するなど16試合に出場。

 ◆インテルミラノへ電撃移籍

 移籍期間最終日の11年1月31日、終了時刻の直前に名門インテルミラノに完全移籍。2月6日ローマ戦で初出場すると、3月6日ジェノア戦でセリエA初ゴールを挙げ、DFサネッティとお辞儀し合うパフォーマンスで人気を集める。

 ◆レギュラー定着

 12-13年シーズンは25試合に出場。不動の左サイドバック(SB)の地位を築く。

 ◆初キャプテン

 今季は34試合5得点。SBだけでなく左MFとして攻撃を磨く。13年12月24日のミラノダービーではMFカンビアッソが途中交代する際に腕章を渡され、日本人で初めてキャプテンマークを巻いた。