[ 2014年7月9日7時47分

 紙面から ]

 開幕のブラジル-クロアチア戦を担当した西村雄一主審(42)に、再びスポットが当たった。国際サッカー連盟(FIFA)は7日、準決勝以降を担当する審判候補リストを発表。25組から絞られた15組に、西村主審、相楽亨副審(38)名木利幸副審(42)の日本人トリオが入った。開幕戦でのブラジルの微妙なPK判定が物議を醸した同主審は以後、担当試合がなかったが、決勝戦の笛を吹く可能性が出てきた。

 西村主審の名前が、再び注目された。開幕戦のPK判定は、世界中を巻き込んだ論争になった。その後は担当がなく「お役御免か」という見方もあったが、決勝戦担当の最終候補入り。ロイター通信など海外のメディアは、驚きながら「Nishimuraがリストに入った」と報じた。

 15組は、FIFAがここまでの審判団のパフォーマンスを評価し「準決勝以降を裁くのにふさわしい」と選出した審判たち。西村氏とともにウルグアイFWスアレスの「かみつき」を見逃したロドリゲス主審、ブラジルFWネイマールを負傷させたコロンビアDFスニガに警告を出さなかったベラスコ主審の名もある。FIFAはいずれも「問題なし」としているが、一般的にはサプライズだ。

 15組のうち、準決勝以降の試合を裁けるのは4組だけ。すでに、準決勝はロドリゲス氏とジャキル氏の担当が決定。残る3位決定戦と決勝の審判の座を13組で争う。南米対欧州の対戦になれば、両地域以外から選ばれる可能性もある。そうなればFIFA審判委員会で欧州、南米に次いで評価の高いアジア勢が浮上、西村氏の名前もあがる。

 審判にとっても、W杯決勝は最高の舞台。審判員なら誰もが目指す。自国の試合は裁けないため、西村氏は大会前「日本代表が決勝に出るから、決勝の笛は吹けません」と話したが、日本代表は1次リーグ敗退。決勝進出の舞台は整った。

 過去、日本人のW杯主審は3人。06年大会では3位決定戦を上川徹氏が担当したが、決勝の笛を吹いたアジアの審判はいない。開幕戦の次の担当試合が決勝戦となれば、これもサプライズになる。しかし、その候補に残っているのも事実。前回大会の決勝で第4の審判を務めた同氏が、今度は笛を吹くことになるのか。世界が注目している。<審判アラカルト>

 ◆PK判定

 開幕戦で西村主審がブラジルFWフレジが倒されたとしてPKの判定。敗れたクロアチアや世界各国から「シミュレーションだ」と誤審を指摘する声が上がった。決勝トーナメント1回戦オランダ-メキシコでのオランダFWロッベンや、1次リーグギリシャ-コートジボワールでのギリシャのPKにも誤審騒動があった。

 ◆警告減少

 今大会ここまでの警告数は1試合平均2・8枚。前回大会より1枚減り、90年大会以降では最も少ない。審判が警告を取らずにプレーを流す傾向も強く、ネイマールの脊椎骨折を呼び込んだという声が噴出した。FIFA審判委員長のブサッカ氏が「なるべく警告をとるな」と指導したとも報じられたが、FIFA側は否定。

 ◆オフサイド判定

 今大会から導入された「ゴールラインテクノロジー」でゴール判定は完璧になったが、オフサイド判定には疑問が残るものも。メキシコは1次リーグのカメルーン戦でCKからゴールを決めたが、オフサイドでゴール取り消し。CKからのオフサイドはありえないため、誤審ではと話題になった。