高橋みなみ(25)がAKB48を卒業した。8日、東京・秋葉原のAKB48劇場で卒業特別記念公演を行い、アイドルとしての活動に終止符を打った。2005年12月8日に1期生としてデビューしてから3775日。700回以上ステージに立ち、慣れ親しんだ“学舎”から、ソロ歌手として新たなスタートを切った。

 10年の思いを込めて、最後のステージに立った。オープニング。センターポジションに1人立った。インディーズデビュー曲「桜の花びらたち」をアカペラで歌った。

 <新しい世界のドアを 自分のその手で開くこと>

 旅立つ自分の背中を押すかのような歌詞に実感がこもり、涙が頬を伝った。

 「1分1秒たりともステージにいない時間は嫌! だから全部に出ます」

 先月27日の卒業ライブ(横浜スタジアム)同様、全曲に出演した。所属したチームA6公演の表題曲、公演内で担当したユニット曲など、AKB48人生をたどるセットリストを組んだ。

 AKB48の象徴ともいえる専用劇場を、心の底から愛していた。高橋は劇場を「可能性しかないところ」という。卒業が決まり、限られた劇場出演の機会を増やそうと、自らプロデュースする特別公演を提案した。今年2月16~28日に行われた全8公演で、新たに55曲を覚えた。「AKB48って基本は何でもあり。遊び心を忘れたらAKB48ではないです」。この日も、卒業生が入り交じるなど、最後まで高橋が持つ劇場精神を体現した。

 大好きな劇場と別れの時がやってきた。「ああ、終わっちゃうなあ」。ゆっくり息を吐くと、思いがあふれ出た。「大島優子が卒業後に言っていた『一番悲しいのは、劇場から卒業すること』ってことを今実感しました」。目の前には支えてくれた250人のファン。後ろには現役、前田敦子(24)板野友美(24)らOGを含む89人の仲間がいた。いつも見守った劇場内の2本の柱には、周年時に張っているピンク色のテープが10本になっていた。

 「劇場で生まれて育ったので、これからもあり続けてほしい。見に来たいな。テープが20、30本と増えて、私のことなんて知らないメンバーがステージに立ってる。そんなAKB48であってほしいと思います」

 4月8日生まれ。148・5センチ。48の星の下に生まれた小さな巨人は、何度も踏みしめてきたステージを3回たたいて、アイドル高橋みなみにも別れを告げた。【大友陽平】

 ◆高橋(たかはし)みなみ 1991年(平3)4月8日、東京都生まれ。05年12月8日、AKB48の1期生として劇場公演デビュー。チームAキャプテン、48グループ総監督を歴任。選抜総選挙は昨年の4位が最高。愛称「たかみな」。148・5センチ。