SKE48からの卒業を発表している宮前杏実(19)が28日、名古屋のSKE48劇場で最後の公演に出演した。

 アンコールでは同期の5期生でチームメートの二村春香に加え、古畑奈和、江籠裕奈、市野成美も登場。研究生時代の思い出の曲「目が痛いくらい晴れた空」を5人で歌い、「この曲で初めて泣きそうになった」と表情を崩した。

 11年に5期生として加入した宮前は、遅咲きながら運動能力の高さで頭角を現した。初選抜までに3年を要したが、シングル「12月のカンガルー」では初選抜だけでなく、北川綾巴(17)とのダブルセンターに大抜てきされた。グループの看板を背負う重圧と充実感を同時に味わった。「『12月のカンガルー』の3カ月は1日しか休みがなかったけど、本当に楽しかった。でもそれは綾巴(と一緒)じゃなかったらダメだった」と北川に感謝した。最後は北川らと「12月の-」を当時の衣装で披露し、大きなコールを浴びていた。

 チーム屈指のダンスメンバーとして先輩、後輩問わず振り付けを教える、頼れる一面もあった。「教え子」でもあった1期生の大矢真那(25)から「宮前のファンが心配してくれるんです。『振り付け覚えられる?』って」と打ち明けられると、宮前は「振り入れだけでも呼んでもらっていいですよ。覚えますんで」と返答。大矢が「じゃあ心配ないで~す。これからも」と頼る気満々に言われ、苦笑いしていた。

 ダンスとは対照的に勉強が苦手で、突っ込みどころ満載のおバカキャラとしても人気だった。「今、世の中にある言葉の中には、この気持ちを表す言葉はない。何て言えばいいんだ?」と、ボキャブラリーのなさを棚に上げて? 困り顔。一方で、独り立ちした後のファン離れが心配なようで「いなくなったらすぐ分かりますからね。覚えてるもん。私のこと、頭悪いと思ってるでしょう? 今だって『あの人いなくなった』ってすぐ分かるから」と、ファンにくぎを刺した。

 デビュー当初から、けんかばかりしていたという母への感謝も忘れなかった。「お母さんが1番そばにいてくれたし、やってこられたのはお母さんのおかげ。私を生んでくれてありがとうございます」。この日のスピーチは想定より短めに終わり、「またお母さんに『何でもっと話さなかったの?』って怒られる」とビクビクしていた。

 グループでの活動は、握手会を除き、基本的には今月いっぱいとなる。今後は女優になるのが夢で、3月には事務所を布施博らが所属するサン・オフィスに移籍した。「芸能活動をやめちゃう理由はない。夢は皆さんと共有して(一緒に)歩んでいってほしいなと思う」。最後は笑顔で再出発を宣言した。