3月が別れの卒業の季節となるのは、学校だけではなくなってきました。AKB48は今月、立て続けに卒業公演を催しました。卒業メンバーは、相笠萌(18)梅田綾乃(18)大和田南那(17)西野未姫(17)、そして今夜30日の中村麻里子(23)です。相笠は、4月から大学へ進学。梅田はグループ在籍時から舞台女優として活躍中で、卒業翌日から新しい所属事務所に移籍しました。大和田と西野も、引き続きの芸能活動を希望中。中村は、神戸のテレビ局サンテレビに契約アナウンサーとして入社することになりました。

 AKB結成11年目ですが、3月下旬に卒業公演が集中したのは、初めてのことです。ただ、新年度の4月からは新しい活動を始めやすく、区切りをつけやすいのは、一般の学校と同じということでした。

 特に、姉妹グループを含めるとメンバーが約400人。その中で、テレビに出られるメンバーは、限られたごくわずか。毎日の劇場公演ぐらいしか仕事がなく、活動範囲が広がらないメンバーも増えてきていて、グループの知名度を使って「スターになる夢」を諦めて、学業に戻ったり、一人で身を立てようとする子も、その分多くなってきたということでしょう。

 同じ卒業でも、やはりそこにも「差」が存在しています。中村は、AKB48選抜総選挙には1度もランクインしたことがない、いわゆる人気の高くないメンバーでした。センターはおろか、CDシングルを歌ったり、テレビ音楽番組に出演できる選抜メンバーにも選ばれることはありませんでした(じゃんけん大会の運では1度だけ選抜経験あり)。ただ、マジメな性格がスタッフに評価され、秋元康にまで評判の良さが伝わり、AKB48グループドラフト会議などのグループのビッグイベントの司会に大抜てきされるようなこともありました。

 そして今回、自らの足で就職活動をして、アナウンサーへの道を切り開きました。いくらAKBの元選抜メンバーといった人気者でも、卒業後はまともに芸能活動できずにセミプロ止まりで苦しんでいる子も多い中、ひとまず契約とはいえ、女性の憧れの職業の1つ、アナウンサーの座を勝ち取ったのです。まさに、最後の最後に一発大逆転した、大勝利の卒業でした。