AKB48小嶋陽菜が、29歳の誕生日を迎えたこの日、卒業公演を行い、アイドルとして最後のステージに立った。

 最後までプロデューサーとしてのセンスを存分に発揮した。出演者、セットリストまですべて小嶋が中心になり、こだわり抜いて決めた特別公演だった。出演メンバー89人は、すべてAKB48のメンバー。「純AKB48」に見送られてのラストステージとなった。

 楽曲は「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテーション」などシングルの名曲はもちろん、「ハート型ウイルス」「純愛のクレッシェンド」など、劇場公演で小嶋が担当していたユニット曲を中心に披露した。1曲目の「シュートサイン」、小嶋がシングルで初センターを務めた「ハート・エレキ」など、小嶋ゆかりの曲では、全体曲にもかかわらず振りがきれいにそろった。

 「スカート、ひらり」では、小嶋が「次世代を担う若い子たちと歌いたいと思います。私の原点です」と前置きした。向井地美音(19)谷口めぐ(18)久保怜音(さとね=13)岡部麟(20)小栗有以(15)村山彩希(ゆいり=19)の若手ホープたちと楽しそうに踊った。公演の主役ではあったが、未来ある後輩たちをPRすることも忘れなかった。

 05年のグループ創設から立ち続けたステージで踊るのも、これが最後。秋元康総合プロデューサーからは、手紙を送られ、峯岸みなみ(24)が代読した。「『陽菜、もう少しAKBにいたら?』。いや、うそです。もう陽菜に甘えられません。フニャフニャしてて、やる気がないように見えて、手を抜いてるように見えて、でも本当は誰よりもまじめで、責任感があって、AKB48を愛し続けた君に、心の底から感謝します。ありがとう」。惜別の思いを込めつつ、12年もの間、AKB48への愛を変わらず持ち続けた感謝の言葉を送られると、小嶋は涙をぬぐいながらも「本物かな?」と絶妙のジョークで笑わせた。

 「12年前、すごく軽い気持ちで入ったこのAKBに、本気になる瞬間が何度もありました。みんなに出会えたのも、今までの私も、これから先の私もすべて、AKBが与えてくれました。本当にありがとう、AKB」。最後は柏木由紀(25)渡辺麻友(23)横山由依(24)ら、涙を浮かべる後輩たちと目を合わせながら、「夕陽を見ているか?」を熱唱した。20曲すべてに出演し、アイドル最後のステージを満喫した。小嶋の卒業で、48グループから昭和生まれのメンバーが1人もいなくなった。