AKB48が、今年も頂点に立った。第54回日本レコード大賞が30日、東京・渋谷区の新国立劇場で発表され、AKB48の「真夏のSounds

 good!」が大賞に輝き、2年連続で栄光を手にした。

 発売シングル5作全てミリオンを達成し、年間チャート上位を独占。前田敦子(21)の卒業などで過渡期を迎えながらも、高い人気を維持したことが評価された。受賞後、総監督の高橋みなみ(21)、新センターの渡辺麻友(18)は昨年とは違う安堵(あんど)の涙を流した。

 決定の瞬間、メンバー36人は一斉に歓喜した。笑顔、泣き顔で、次々にステージに上がった。高橋が涙ながらに「本当にありがとうございます」とあいさつ。人前でめったに泣かない渡辺も、胸を押さえながら「前田さんが卒業されて、残された私たちで、AKB48を…」とおえつした。

 悲願の初受賞を果たした昨年とは違う「負けられない戦い」だった。「真夏の-」はシングル部門年間1位となり、史上初の3年連続1位を獲得。今や、CD売り上げでは、他の追随を許さぬ独走状態だ。一方で、8月に夢だった東京ドーム公演を実現し、前田が卒業するなど、グループとしては第2章に突入。初めて迎えた世代交代の時期に、レコード大賞を逸するとグループの勢いに、水を差しかねなかった。そんな心配をよそに審査委員会では圧倒的支持を得た。「エースが抜けても高い人気を維持した」「彼女たちによる社会現象は続いている」の声が相次いだ。

 それでもメンバーは常に敏感で危機感を抱いている。前田とライバルだった大島優子(24)、親友だった高橋は「AKB48をこれからどうしていくか、ずっと2人で話し合ってます。世間の皆さんに、目標を達成したAKB48が、落ち着いてきちゃったとか思われたくないですから」と話した。

 グループが大ブレークしてから加入した9期生の島崎遥香(18)と横山由依(20)も同じだ。歌も踊りも苦手で「ポンコツ」と呼ばれる島崎だが、じゃんけん選抜で優勝し、新曲「永遠プレッシャー」でセンターを務めていることで、自覚が芽生えてきた。「詳しくは秘密ですけれど、由依と話したんですよ。『第2章』について」。他のメンバーも、グループの今後について意見を交わし、個人個人で精進している。

 東京ドームで3日連続公演を実現し、レコ大も連覇したが、さらに一皮むけようと、もがく少女たち。過去の女性アイドルグループの人気は、長くて2、3年だったが、確実にその先も見えてきた。「この受賞を次につなげていきたいと思います」(渡辺)。史上最強女性グループになりつつあるAKB48は、飽くなき向上心で新たな景色を見つけにいく。【横山慧】

 ◆日本レコード大賞

 1959年(昭34)開始。大賞は対象年度に発売された邦楽シングル曲から、その年度を強く反映、代表したと認められた作品に贈られる。最優秀アルバム賞、最優秀歌唱賞、最優秀新人賞、作曲賞、作詞賞、企画賞などもある。審査は21人で実施。審査委員・幹事は一般紙、スポーツ紙などの音楽記者12人、TBS系列4局の4人、音楽評論家ら5人。大賞は3連覇が最高で、浜崎あゆみ(01~03年)とEXILE(08~10年)。2連覇は細川たかし(82、83年)中森明菜(85、86年)安室奈美恵(96、97年)と今回のAKB48。