まさかの1位だ。21日に投票が始まった第5回AKB48選抜総選挙の速報結果が22日、東京・秋葉原のAKB48劇場で発表された。昨年総選挙1位のAKB48大島優子(24)が過去最低の3位となる中、昨年4位のHKT48指原莉乃(20)が初の首位に立った。2万8563票で2位渡辺麻友(19)に倍近い大差。スキャンダルで移籍した影響を感じさせない驚きの強さを示した。投票締め切り日は6月7日、開票イベントは横浜・日産スタジアムで6月8日に開催される。

 これだからAKBワールドは分からない。1年前の総選挙直後、過去の恋愛問題の発覚でAKB48から博多のHKT48に「左遷」された指原が先頭に立った。この日午後8時半に始まった速報結果発表。まずは3位で大島の名前が呼ばれると、会場がざわつき始めた。2位で先に呼ばれたのは渡辺麻友(19)。1位が誰なのか、決まった瞬間だった。総選挙の本命・対抗とされた2人の名前がボードに張られると、柏木由紀(21)と小嶋陽菜(25)が笑い転げた。公演先の東京ドームシティホールでモニターを見守っていた大島も驚きで体を震わせた。そして1位の発表。「HKT48チームH指原莉乃」。AKB48劇場の戸賀崎智信総支配人がその名前を呼ぶと、割れんばかりのどよめきが響いた。

 指原はこの日、公演もなく、速報発表の会場にもいなかった。約30分後、ネット上のグーグルプラスで「夢ですか?

 なんかもう速報でも嬉しすぎえもうなですかね。御礼しかいえない!!

 HKTメンバーすごい

 ありがとうございます!!!」と、字を打ち間違えるほど動揺したままコメントした。

 指原の順位予想は真っ二つに分かれていた。1年前とはいえ、スキャンダルの後遺症で順位を落とすという見方と、逆に認知度を高めたことで昨年同様に健闘するという予想。それでも首位という予想は、さすがに皆無だった。

 ただ気配はあった。移籍したHKT48は地元九州で昨年7月の移籍直後から大フィーバーを巻き起こした。全国放送から福岡の放送局まで、メンバーで最も多くのレギュラー番組を獲得(現在5本)。握手会はスキャンダル前よりも盛況で常に長蛇の列ができた。4月28日にはメンバー初の劇場支配人兼任となり、常に話題を振りまいてきた。何が起こるか分からない。ファンにとって、最も気になるメンバーになっていた。

 前年の速報で5位だった高橋みなみ(22)が18位に急落するなど過去4回と全く違う展開となった。もはや「神セブン」と呼ばれる上位常連7人の顔触れも完全に崩れた。速報発表は、投票開始直後にファンの動向を数字で確認できる名物企画。開票当日まで唯一の中間発表として、本番の行方を占う貴重な機会。例年、速報と最終結果で大幅な順位変動はなかったが、上位争いに関しては、刺激を受けたファンが奮起するケースもあった。今年はまさかの展開となり、混迷の状況だ。

 激動の1年をたくましく走り抜けた「穴馬」が、まさかのロケットスタート。爆笑の逃げ馬として馬群に沈むのか。このままシンデレラストーリーの階段を駆け上がるのか。指原ファンが、アイドルの世界観、価値観を覆す革命ののろしを高々と上げた。【瀬津真也】

 ◆指原莉乃(さしはら・りの)1992年(平4)11月21日、大分県生まれ。愛称「さしこ」「さっしー」。07年10月、AKB48の5期生オーディションに合格。08年3月にデビュー。同年夏にチームB昇格、10年にチームA。昨年5月「それでも好きだよ」でソロデビューも、6月にHKT48移籍。13年4月にHKT48劇場支配人兼任に。総選挙順位は27→19→9→4位。血液型O。