<第5回AKB48選抜総選挙>◇8日◇日産スタジアム

 <解説>ファン参加型のイベントであることをあらためて強く印象付けた。普通のアイドルグループなら、正統派アイドルと一線を画すバラエティー要員の指原が上位に来ることは考えられない。指原もびっくりだろう。メンバーたちの思いと裏腹に、ファンは「自分たちで結果を動かしてやろう」と躍起になっている。ファンが求めるのは「予想の斜め上を行く面白さ」だ。

 握手会の現場ではファンが円陣を組む場面に出くわす。投票活動の相談をしている。ネット上では票読みや支援票の投じ方を語り合う選挙対策握手会が立ち上がる。白熱する議論は、さながら本物の選挙運動だ。結束する楽しみもあり、自分たちの頑張り次第で結果を動かせるのだから、ファンにとっては痛快だろう。

 姉妹グループの躍進は今年も続いた。各グループともテレビの冠番組で、メンバー個々の知名度が上がった。劇場公演がネットで生配信されているグループもあり、メンバーの魅力を発見するファンの目も肥えてきた。

 気になることがある。AKB48の中堅メンバーたちは軒並み順位を落としたり圏外になって苦戦した。厳しい言い方をすると、看板に甘え、体調管理すら怠ってきたメンバーは淘汰(とうた)される時期が来たのかもしれない。昨年の総選挙後、AKB48は第2章の幕開けを宣言した。それはファンにとっても同じことだ。【森本隆】