<第4回AKB48じゃんけん大会>◇18日◇日本武道館

 AKB48の34枚目シングル選抜メンバーを決める第4回じゃんけん大会が開催され、SKE48とAKB48を兼任する松井珠理奈(16)が初優勝した。全7戦を全てパーで勝ち抜いた。過去に08年のデビュー時と昨年のAKB48シングル曲で、ダブルセンターの1人を務めたことはあるが、単独のセンターは初めて。SKE48のエースが、ついにAKB48でも頂点に君臨する。

 憧れた卒業生、2年前の篠田麻里子のように驚き、うれし泣きした。「ずっとパーで勝っていたので、このまま最後まで出していけば勝てるかなって思っていました」。愚直で強気な性格どおり、NMB48上枝恵美加(19)との決勝戦も迷わずパー。勝った瞬間に顔に手を当て、目を丸くして驚くと、そのままへたり込んだ。じゃんけんの女神がほほ笑んだのは、名古屋の絶対エースにして48グループ全体の次世代エース筆頭候補の珠理奈の頭上だった。

 生まれながらのエースだ。08年のSKE48第1期オーディション最終選考会で秋元康総合プロデューサーに「10年に1人の逸材」と見初められた。3カ月後のAKB48シングル曲「大声ダイヤモンド」で11歳ながら、いきなりセンターとして衝撃デビュー。その後もSKE48の看板娘とAKB48選抜メンバーを兼任した。“英才教育”を受けてきた超エリートだ。

 おかげで前田敦子のようにアンチファンの批判にも人一倍さらされてきたが、今年のAKB48選抜総選挙は6位。才能と努力で周囲を認めさせてきた根性娘の勝利者インタビューの言葉には重みがある。「じゃんけんセンターだけでなく、本当のセンターとしても認めていただけるように、これからも頑張ります」。運でつかんだ頂点に満足はしていない。新顔ばかりのじゃんけん選抜メンバー16人を見渡し「今はAKBだけじゃなくSKE、NMB、HKTと、たくさんのグループがいる中でのセンター。いろんなものを背負っていると感じてます」と責任感も口にした。

 16歳の女子高生の器は計り知れない。1万人以上の視線が注がれた決勝戦。興奮で半泣きした相手と対照的に、とことん冷静だった。「(上枝が)準決勝で、ずっとグーであいこだった。誰が何を出す確率が高いか、よく見てましたよ。私がパーを出し続けたのも、みんな力が入ると(握りこぶしの)グーになりやすいのかなって思ったから」。7月のAKB48全国ドームツアー直前に左手人さし指を骨折していたが「左手から悪いものが飛んでいってツキがあると思った」と言ってのけ、ゲン担ぎに置き換えた。

 運だけではなく、逆境に立たされた場数と度胸の違いだった。頂点にふさわしい若きエースなら、平均年齢17・8歳の経験浅き、新じゃんけん選抜も、問題なく引っ張っていけそうだ。【瀬津真也】

 ◆松井珠理奈(まつい・じゅりな)1997年(平9)3月8日、愛知県生まれ。08年SKE48の1期生として加入。11歳でAKB48の10枚目シングル「大声ダイヤモンド」に選抜メンバー入り。12年シングル「UZA」でも大島優子とダブルセンター。163センチ。血液型B。