20日に投票がスタートした第6回AKB48選抜総選挙の速報結果が21日、発表され、東京・AKB48劇場で公演出演後、結果発表に立ち合ったAKB48渡辺麻友(20)は2位スタートに笑顔を見せた。1位のHKT48指原莉乃(21)に投票数では1万2299票もの大差をつけられたが、悲願の頂点に向け、諦めずに前進し続ける。

 大方の予想通りの2位に、渡辺麻は笑顔を崩さず、客席に手を振った。上位発表が迫ってくると、おなかを抱え緊張の面持ち。3位で「SKE48…」と、松井珠理奈(17)が呼ばれると「ハァー」と大きく息をついた。残るは2席。両手を組んで祈った瞬間だった。

 「2位、AKB48…」。自分が呼ばれたことを悟ると、小さくうなずいて笑顔で手を上げ、客席にお辞儀した。1位の指原が、圧倒的な3万7582票とアナウンスされると、歯ぎしりするように「イーッ」と驚き、隣の4位柏木由紀(22)らと顔を合わせた。

 発表後、チームBキャプテン倉持明日香(24)が「さっしー、すごくない!」と切り出すと、「もう、さっしー無敵だよ!!」と、目を丸くした。悔しさは胸に秘めて、アイドルらしく最後まで笑みを振りまいた。総選挙も、もう6回目。泰然自若に構えるしかないことを、分かっていた。

 22歳の1期生前田敦子、25歳の2期生大島優子に対して、20歳の3期生。一昨年に2位まで上がり、昨年は本気で頂上を狙った。結果は3位。長らく次世代エース筆頭候補と言われてきているだけに、悲願成就の思いは、出馬全296人の誰よりも強い。

 13歳でデビューしてから、正統派アイドルの道を歩んできた。歌良し、ダンス良し、笑顔のファン対応良しと、従来のアイドル要素は、全て兼ね備えていた。ただ、指原や大島のようなファンを刺激的に驚かせる「意外性」に欠け、良くも悪くも優等生だった。

 「この1年は、殻を破ってきました」。かつては髪形がくずれることを嫌がっていた少女が、バラエティー番組で髪を振り乱してコントをするなど、自分の幅を広げてきた。全ては、日本一のアイドルになるため。

 票数では差をつけられたが、まだ初日。半月後の大逆転しか、見据えていない。今年こそは、秋元康プロデューサーの指名ではなく、ファンの指名で、本当のセンターを取りに行く。【瀬津真也】

 ◆渡辺麻友(わたなべ・まゆ)1994年(平6)3月26日、埼玉県生まれ。愛称「まゆゆ」。06年12月、AKB48の3期生オーディションに合格。07年に劇場公演デビューした。09年に「渡り廊下走り隊」としてユニットデビュー、12年にはソロデビュー。所属チームはB→A→B。総選挙は第1回から4→5→5→2→3位。血液型AB。