<第5回AKB48じゃんけん大会>◇17日◇日本武道館

 “みるきー”ことNMB48兼SKE48の渡辺美優紀(20)が、決勝戦でAKB48小嶋陽菜(26)を下して初優勝した。姉妹グループの予選大会から勝ち進んだのも、NMB48の優勝者が出たのも初めて。優勝の報奨、ソロCDデビューも決めた。

 渡辺はグーで勝利すると、目を丸くさせて驚いた。「大先輩」と呼んだ小嶋との人気メンバー同士の決勝戦を制すと、観客1万2000人から、みるきーコールが降り注いだ。久々の大声援に、それまでニコニコ笑っていた渡辺も、さすがに瞳をみるみる潤ませた。「応援してくださった皆さんありがとうございます。やっと皆さんに恩返しができるんじゃないかと思ってうれしいです」。どん底からはい上がるチャンスを、自らの運でつかみ取った。

 3月に週刊誌で交際疑惑が報じられた。黙して語らずを貫いたが、6月のAKB48選抜総選挙は、前年から約8000票も減った18位。まさかの選抜メンバー落ちとなった。それでも不満を言わず、地道に握手会と公演に臨み、信頼を取り戻す努力を重ねてきた。

 「私の力じゃないんです。何があっても応援し続けてくれた皆さんと、支えてくれたスタッフさんたちのおかげで優勝できたんです。母は泣いて喜んでくれていると思います」。信頼してくれたファンと、女手一つで育ててくれた母のためにも、くじけるわけにはいかなかった。

 AKB48グループ屈指のアイドル性を持ち、NMB48のダブルセンターの一角を担ってきた。入浴を「ちゃぷちゃぷ」と表現し、握手会の人一倍丁寧な対応で「釣り師」と呼ばれるなど、愛嬌(あいきょう)で人気を積み重ねてきた実力者だ。かねて「日本一のアイドルになる。嫌なことがあっても夢は絶対忘れない」と言ってきた。悲しみを笑顔で隠し続け、逆境にめげなかった姿勢に、じゃんけんの女神が、明日19日の21歳の誕生日に最高のプレゼントを授けてくれた。

 「かわいさでは絶対負けへん自信があります。尊敬する松浦亜弥さんのようにキラキラ輝きたい。期待しててください。ソロ曲名は『超絶カワイイみるきー』ですね」と、みるきー節も完全復活。予備選からのじゃんけん9連勝で、300分の1の頂点に上り詰めた。王道アイドルが、AKB48グループのど真ん中に帰ってきた。【瀬津真也】

 ◆渡辺美優紀(わたなべ・みゆき)1993年(平5)9月19日生まれ、奈良県出身。10年、NMB48の1期生オーディションに合格。同10月で初お披露目された。11年にチームNの一員として劇場デビュー。12年からAKB48を兼任。今年の大組閣でチームB2移籍、SKE48兼任に。今年の選抜総選挙は18位。愛称「みるきー」。155センチ。