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作品紹介

ユナイテッド93

出演
コーリイ・ジョンソン、デニー・ディロン、タラ・ヒューゴ、サイモン・ポーランド、デヴィッド・ラッシュ、ジョン・ロスマン、チップ・ジーン
監督・脚本
ポール・グリーングラス
製作
ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ロイド・レヴィン
配給
UIP映画
上映時間
1時間51分
公開日
8月12日(土)、みゆき座ほか全国一斉順次ロードショー

ストーリー

ユナイテッド93の写真1

 2001年9月11日、東海岸は晴れ、西海岸上空には低い雲があるが、昼過ぎには晴れる予報が出ている。空港も航空管制センターも、いつもと変わらない1日を迎えようとしていた。

 ニューアーク空港発サンフランシスコ行き「ユナイテッド93便」は朝の離陸ラッシュに巻き込まれ、予定時刻を30分ほど遅れて出発しようとしていた。飛行時間は5時間25分。機内には40名の乗客乗員が同乗。その中にテロリストたちが含まれていることなど、周りにいる誰も想像すらしていなかった…。

 最初に異常に気がついたのはボストン管制センターだった。通信が途絶えていたアメリカン11便から、「操縦室を制圧した。静かにしろ。空港に戻る」という声が聞こえてきたのだ。ボストン発ロス行きで乗客は92名。その情報はニューヨーク州ローム北東地域防空指令センターにも伝えられ、臨戦体制がとられた。11便から傍受した通信を分析した結果、その声はハイジャックした機のことを「プレーンズ」と複数で呼んでいる。そして、アメリカン11便の機影が、マンハッタン上空でレーダーから消えた。防空指令センターは8時46分に戦闘機の緊急発進を発令。その時、ワールド・トレード・センター北棟に航空機が激突。それがアメリカン11便だった…。各管制センター、軍、そして民間報道の間で情報が錯綜する中、今度はユナイテッド175便が通信不能となる。高速のまま降下を続け、やがてレーダーから消えた…。標的はワールド・トレード・センター南棟だった。あまりの状況に、各所で事態の収束に務めていた全員が言葉を失ってしまう。

 ユナイテッド93便の機内では朝食が出され、それぞれが思い思いの穏やかなフライトを続けていた。生まれたばかりの子供のことや、結婚記念日のこと、そして余暇に楽しむスポーツのことなどを話しながら…。その時、突然テロリストたちが動き始め、爆弾を持って操縦室を占拠。機内は混乱状態となった。乗客乗員に出来ることは、地上にハイジャックの事実を伝えること。そして地上からワールド・トレード・センターの悲劇を聞いた彼らは確信する。これは自爆テロであり、自分たちの機も、どこかのターゲットに向かっていることを…。ちょうどその頃、ハイジャックされた3機目、アメリカン77便が国防総省に墜落したという情報が各所に入っていた。

 「我々で何とかしよう」。絶望の中で乗客乗員たちは、わずかな武器を手に立ち上がることを決意した。何もしなければ結果は分かっている。いま自分たちに出来る最大限のこと、尊い勇気をもって飛行機を取り戻すために…。そして、それぞれが地上にいる家族に電話で最後のメッセージを残した。「愛してるよ」-

 あの日、犠牲になった4機の内、ユナイテッド93便だけは目標に達することなく午前10時3分ペンシルベニア州シャンクスヴィルに墜落。乗客乗員、全員が死亡した。

 軍の上層部がユナイテッド93便のハイジャックを知ったのは、墜落して4分も経った後のことで、一番近い戦闘機は現場から160キロの遠方にいた。

 午前10時18分、大統領はハイジャック機への攻撃を許可。だが早計の攻撃に走ることを恐れた軍部は、飛び立ったパイロットにこの許可を伝えなかった。

 午後12時6分には全民間航空機が強制着陸をさせられた。

 軍は空前の規模の動員体制をとったが、米国の空域は封鎖され続けた…。

イントロダクション

ユナイテッド93の写真2

 時代を大きく揺さぶった事件が映画化された例はこれまで数多く存在している。しかしそれらの多くはあくまでも「歴史」を扱ったものであり、現代から見た歴史的な評価や物語としての脚色が反映されたものとなっている。しかし「ユナイテッド93」の映画化は、わずか5年前の出来事に取り組むこと-監督自身が「どの時点で、これほど痛ましい事実をスクリーンで語って良いのか、常に疑問を抱いていた」と語る通り、生々しい傷跡はまだ癒えていない。しかし世界を永遠に変えてしまったあの日のことを、時が解決してくれることなどあるのだろうか? 遺族の方にとって“終わりの日”は決して来ない…。だからこそ、遺された人々が苦しみの中で“イエス”と言った時、本作品の製作者たちは決意したのだった。あの日に何が起こったのかを映画化することを…。

 監督のポール・グリーングラスは、ユナイテッド93便がペンシルベニア州に悲運の墜落を遂げるまでを、知りえた事実を曲げることなく、見せるべきことを見せることに徹している。それは亡くなった40名の家族・友人や、9・11委員会、航空管制官、軍関係者への膨大なインタビューが基盤となっている。しかし実際にあの機内で何が起こったのかは誰にも分からない。映画製作者たちは彼らを自分に置き換えて考え、想像するしかなかった。グリーングラスは大ヒットを記録した「ボーン・スプレマシー」で世界的な名匠と呼ばれるようになったが、映画作家としての才能は、それ以前の「ブラディ・サンデー」でも十分に発揮されている。同作は1972年に発生した悲劇-いまだにイギリス国民に深い傷跡を残している「血の日曜日事件」をドキュメンタリー・タッチで描き、ベルリン国際映画祭金熊賞を獲得。しかし賞に輝いた実績を持っているからではなく、彼の持つ社会派作家としての信念と精神が、焦点をぼかすことなくユナイテッド93便の真実に正面から取り組む姿勢につながっているのである。

 通常の作品とは違い、「ユナイテッド93」には主演スターなど存在しない。出演者は実際に機に同乗した人々の年齢等を反映して慎重に検討され、その演技力とは別に、一般的にはあまり知られていない俳優たちが選ばれている。またプロの俳優以外にも、実際のパイロットや乗務員経験を持つ者、そして本物の管制官等を起用。中でも事件当日に最も重要な任務を負ったハーンドン連邦航空管制センターのベン・スライニーは、劇中で自身の役を演じている。

 スタッフは、監督、脚本、製作を兼任したポール・グリーングラスの他、数多くの名作を世界に贈り続けている製作スタジオ、ワーキング・タイトルのプロデューサーたちが担当。ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、デブラ・ヘイワード、ライザ・チェイシンらが名を連ねている。また「ブギーナイツ」、「トゥームレイダー」シリーズのロイド・レヴィンもプロデュースを務めている。撮影監督は2度の英アカデミー賞ノミネート経験を持つ、「ブレッド&ローズ」、「やさしくキスをして」のバリー・アクロイド。編集は以前にもグリーングラス監督と組んだ3人、クレア・ダグラス、クリストファー・ロウズ、リチャード・ピアソンが共同で担当。音楽は「ボーン」シリーズの他、「フェイス/オフ」、「シュレック」のジョン・パウエルが手がけている。

 本作がどれほど優秀なスタッフの製作した作品であっても、“真実を描くことの意義”なくしては鎮魂の礎になり得ない。それは遺族たちの言葉が何よりも多くを物語っている。「私たちには、『二度とそれを見たくない』という気持ちがあります。しかし何が、どうして起きたのかを記憶にとどめておかなくてはならないのです」「難しくても正しいこと、この映画に関ることはまさにそれでした。事件が起きたことは否定できないのですから、むしろ多くの人に真実を語り、その中で彼らに生きていて欲しかったのです」「あの40人のことが忘れられてしまうのは我慢できません。彼らの行動に名誉を与え、思い出を大切にし、永遠に記憶に残す…。それは我々の役目なのです」。

 あの悲劇を決して忘れないでほしいという願いを込め、これらの言葉を、2001年9月11日に命を失ったすべての犠牲者に捧げる-。



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