【ロサンゼルス24日(日本時間25日)=千歳香奈子通信員】第80回アカデミー賞がコダックシアターで行われ、主演男優賞は前哨戦を総なめにした大本命「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のダニエル・デイ・ルイス(50)が受賞した。俳優を一時休業して始めた靴職人修業を今でも続けている、異色の経歴の持ち主だ。

 デイ・ルイスは主演男優賞受賞直後、オスカー像をまじまじと見て「こんなにハンサムで見事な像をありがとう。本当にゴージャス」と喜んだ。90年に「マイ・レフト・フット」で同賞受賞以来、2度目のオスカーとの対面だったが、感無量だったのは、俳優を一時休業していたこともあったからだ。

 97年「ボクサー」に出演した後、突然、靴職人修業のためイタリアに向かった。映画界からは姿を消していたが、一緒に仕事をしたことがあったマーティン・スコセッシ監督の説得で、01年に「ギャング・オブ・ニューヨーク」で復帰。ブランクを感じさせない役作りで、アカデミー主演男優賞にノミネートされた。

 役になりきり、肉体改造も行うほどだが、靴の修繕などは今でも続けているという。

 「ゼア・ウィル-」では非情な石油王を演じたが、私生活では3人の息子を何よりも大切にする父親。オンとオフの切り替えに、靴と向き合う時間が役に立っているのかもしれない。同作は4月26日に日本公開。