第2次世界大戦中の日本潜水艦と米駆逐艦の壮絶な攻防戦と人間の絆を描くサスペンス大作映画「真夏のオリオン」(篠原哲雄監督、来年公開)が製作されることが10日、分かった。玉木宏(28)が主人公の潜水艦長を演じ、その親友役には俳優初挑戦となるCHEMISTRYの堂珍嘉邦(29)が抜てきされた。米海軍が当時使用していた駆逐艦を使った戦闘シーンの海外撮影も行う。

 映画「真夏のオリオン」の舞台は第2次大戦末期の沖縄南東海域。沖縄上陸を目指す米海軍の補給路を断つため米駆逐艦に戦いを挑む潜水艦の乗員たちの姿を描く。玉木演じる海軍少佐は潜水艦イ-77艦長。おおらかで人間味あふれる人柄で部下から慕われているが、ひとたび戦闘態勢に入ると強い決断力を発揮する。特効作戦用の人間魚雷「回天」を積んでおり、乗員たちは常に死を覚悟する状況にあったが、強い信念と意志で乗員たちに生き抜く大切さを伝えていく。関係者は「過酷な現実に立ち向かう人間の強さと勇気、生きてゆく喜び、誇りを伝えたい」と話している。

 戦争映画初挑戦の玉木は広島の呉や江田島の海上自衛隊関連施設で、戦争や潜水艦について指導を受けるなど役作りに励んだ。「厳しい当時の時代を生きた人の感情を伝えられるように懸命に取り組んでいきたい」と話している。

 映画デビュー作となる堂珍は、主人公とは海軍兵学校時代からの親友で、潜水艦イ-81艦長として作戦をともにする海軍少佐役。演技経験はなかったが「聴衆に向かって心の声を届けてきた力を発揮してほしい」と依頼を受けた。「音楽と違う新たな環境でクリエーティブなもの作りをやれることが最大の幸せ。新たな自分を発見できるのではと思っています。まずは楽しんでやります」。

 原作は作家池上司氏のデビュー作「雷撃深度一九・五」(文春文庫)。「亡国のイージス」などで知られる作家福井晴敏氏が脚色として参加し、米駆逐艦側との人間ドラマを加えた。息詰まる攻防戦とともに、敵味方の関係を超えて描かれる人間の絆も見どころとなりそう。製作は東宝、テレビ朝日、デスティニー。都内のスタジオで潜水艦の巨大セットを使った撮影を7月1日から開始。8月中旬には米国で保存されていた駆逐艦を使った戦闘場面の撮影も行う。