映画「蟹工船」(来夏公開予定)の撮影が栃木・足利市で行われている。今年の流行語にもなったプロレタリア作家・小林多喜二の同名小説の映画化。このほどSABU監督(43)、主演の松田龍平(25)らが現地で取材に応じた。

 SABU監督は開口一番、「絶対に名作になる。世界を驚かせる」と宣言した。酷使される労働者たちと支配する経営側の対立。現代の格差社会にも通じるテーマにほれ込んでメガホンを取っただけに、鼻息は荒い。海外配給も視野に入れる。

 男くさい現場だ。約60メートル×30メートルの倉庫に「くそだめ」と呼ばれるタコつぼのような漁民の寝所、缶詰加工場など4つのセットを設置した。ここで映画の大部分を男だけの役者で撮影する。宿舎は近くのアパートとホテル。船内さながら、缶詰め状態で“労働”に集中している。主演の松田も「素晴らしいセットでテンション上がる」。顔を黒く汚し、漁民になりきっていた。

 悲惨さの中にも、人間的なこっけいさをユーモアたっぷりに描き出すのがSABU流だ。「自分で考えて立ち上がる、というのが最大のメッセージ。現代に生きる若者すべてにこの作品を贈りたい」。撮影は年内いっぱい続く。