東北でも「おくりびとフィーバー」が始まった。第81回アカデミー賞の授賞式で「おくりびと」(滝田洋二郎監督)が外国語映画賞を受賞してから一夜明けた24日、東北6県の映画館22館はほぼ満席。1日で合計5000人以上動員するなど、大きな反響が巻き起こった。

 MOVIX仙台では、この日の3度の上映はいずれも128人収容の客席が満席となった。同館の由井深華マネジャーは「午前中からチケット情報などの問い合わせが殺到し、対応に追われています」と話し、28日から3月6日までは1日4度の上映に増やし、同館で最大収容人数を誇る5番シアター(387人)での上映への変更を決定した。岩手の盛岡フォーラムでも1週間の上映延長を決め、一関シネプラザでは立ち見客が出るほど。秋田駅前シネマパレ1では、前日23日までは約50人だった観客が、この日だけで250人を記録した。

 平日にもかかわらず、受賞による報道で、あらためて同作に興味を持った多くの人でにぎわった。MOVIX仙台に訪れた、過去に娘を亡くしたという仙台市青葉区在住の女性も「見ておかなくてはと思って来ました。泣いてしまうと思います」。この熱狂ぶりは、しばらく続きそうだ。【由本裕貴】