<日刊スポーツ映画大賞:助演男優賞・三浦友和(沈まぬ太陽)>◇28日◇ホテルニューオータニ

 第22回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が行われた。

 「沈まぬ太陽」で組合の仲間を裏切り、出世街道を走る行天四郎役で助演男優賞に輝いた三浦友和(57)は、薄茶レンズのメガネにひげのダンディーな姿で登場した。「行天四郎は、あの時代のサラリーマンの気風、抱えていたものをデフォルメしたもの」と分析。「本当に、ありがとうございます」と礼を述べて、原作者の作家山崎豊子さん(85)から電報が届いたことを明かした。「この受賞に対しての祝電に『善の三浦友和さんが行天とは?

 と、思っていたのですが、わび状をしたためます』と書いてありました」。

 物語の中で渡辺謙演じる主人公の恩地元は筋を通したがために、懲罰人事ともいえる、パキスタン、イラン、ケニアへと転々と赴任を強いられる。恩地に対し、上司や、盟友だった行天が転向を勧めささやく。

 三浦は「キーワードとして『わび状』が使われている。恩地に対して『わび状を書けば、へき地に行かずに帰してやる』というくだりがある。『わび状』の入った、この祝電が何よりうれしい。行天をやることを否定的に見ていた(山崎)先生がほめてくれたのが何よりです」と話した。

 イラン、ケニアの海外ロケから始まり、群馬、徳島と撮影期間は5カ月に及んだ。「キャスト、スタッフとも、みんな大変だった。その代表として受けた。大作だけじゃなく、面白いと思うなら小作品でもかかわって、映画界の中で少しでも役に立つような俳優になりたい」。

 年を重ねるごとに、役者として幅を広げている。【小谷野俊哉】