SMAP稲垣吾郎(36)が悪役に初挑戦した映画「十三人の刺客」(三池崇史監督、9月25日公開)の完成披露試写会が17日、都内で行われた。映画は江戸時代、暴君ぶりを発揮する明石藩主(稲垣)を暗殺するため、13人の志士が決死の作戦に出るストーリー。

 悪役は清廉潔白なアイドルのイメージを損なうリスクが伴う。ジャニーズ事務所のタレントはヒーローものを演じることが多いが、悪役を演じることは極めて異例だ。稲垣は「こんな極悪非道な暴君を演じるのは初めて。僕が一番びっくりしました」と明かした。女性や子供に至近距離で矢を放ち惨殺するシーンにも挑戦。国民的アイドルのイメージとはかけ離れた暴君役で役者魂を発揮した。

 体当たりで暴君役に挑む稲垣に共演者らも感化された。暗殺隊を率いて稲垣の命を狙う主演の役所広司(54)は「チームワークはいいですよ。撮影中は稲垣吾郎ちゃんのことをみんなで憎んでました」。稲垣の家臣役の市村正親(61)は「悪い殿様を演じる吾郎ちゃんがとてもいい人なので、最後までついていくことができました」と振り返った。三池監督も「SMAPの見方が変わりますよね」と賛辞を惜しまなかった。

 本作は9月1日開幕のベネチア映画祭のコンペティション部門への出品が決定している。稲垣の出演作は04年「笑の大学」が釜山映画祭で特別上映されたが、世界三大映画祭での上映は初めてとなる。

 「海外の方に見てもらえるイメージはわかないけど、SMAPメンバーもカンヌに行ったりしているので、一映画ファンとしては興味があったし、楽しみです。どんな形であっても、自分の名前を覚えてもらえるのはうれしい。インパクトはあるのではないでしょうか」。稲垣は同映画祭に参加しないが、木村拓哉(37)のカンヌに続く世界三大映画祭デビュー。思いがけない悪役でのデビューを日本で心待ちにしている。