映画「悪人」(李相日監督、11日公開)でヒロインを演じた女優深津絵里(37)が6日(日本時間7日)、第34回モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞した。日本人女優では田中裕子(83年)以来、27年ぶり2人目の快挙。カナダのメゾヌープ・シアターで共演者の妻夫木聡、李監督らと授賞式に出席した深津は、壇上でトロフィーを受け取り「本当にうれしい」と共演者やスタッフに感謝した。
寒い冬のロケとハードスケジュールを乗り越えた出演者とスタッフに、大きなプレゼントが舞い降りてきた。深津はこの日、主演の妻夫木、李監督らと客席で受賞発表を見守っていた。アナウンスはフランス語で、通訳から「次は女優賞ですよ」と教えられていたが、自分の名前が呼ばれても気付かなかった。だが、隣に座っていたプロデューサーがハッと息をのんで深津の顔を見詰めたことで、受賞を悟った。
壇上でトロフィーを受け取った深津は「メルシーボク」とフランス語であいさつした。「私がここに手にしている賞は『悪人』という作品を作ったすべてのスタッフにいただいた賞だと思います。本当にうれしいです。日本にいるキャスト、スタッフの皆に喜びを伝えたいです」と話した。
同映画で、深津は出会い系サイトで知り会った殺人を犯した男性(妻夫木)と逃避行する女性を演じた。撮影は、昨年11月10日から大みそかまで行われた。佐賀、長崎など九州を縦断するロケで、寒さも厳しく氷点下の日が続いたこともあった。過酷なロケを乗り越えただけに、モントリオール祭に出向いた妻夫木や深津らは「(コンペ部門の出品が決まり)みんなでモントリオールに来られたことがうれしい」と話していたという。
李監督は「役者の力を見せつけられた。全員で勝ち取ったと思います」。妻夫木は「夢のような感じがします。僕らの熱が伝わったと思います。深津さんがいたからこそ、高めあって、支え合って撮影できた。なにか家族が賞を取ったような気がします」と喜んだ。深津は「監督の演出がなければあの演技はできなかったと思うし、(相手が)妻夫木さんでなかったら取れなかった賞だと思います」と言葉をかみしめた。深津らは8日に帰国。全国231館で公開される11日には、舞台あいさつで受賞を報告する。




