05年に白血病で亡くなった歌手の故本田美奈子.さん(享年38)の歌声が、命日にあたる6日にスクリーンでよみがえる。05年10月19日にリリースし、遺作となったアルバムの表題曲「アメイジング・グレイス」が、6日公開のアニメ映画「マルドゥック・スクランブル

 圧縮」(工藤進監督)の主題歌に選ばれた。映画の世界観を織り交ぜアレンジされた「アメイジング・グレイス

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 Balot」は同日、配信されることも決まっている。

 主題歌への採用は、映画化の企画が立ち上がった3年前に決まった。愛と自分の存在価値を探し求める主人公ルーン・バロットのキャラクターや世界観と、本田さんの歌声がマッチするとして製作側が熱望。キングレコードの中西豪プロデューサーが「彼女しかいない」と決断した。

 5月19日に本田さんの楽曲の版権を持つ日本コロムビアに打診すると、通常あまり認められないボーカルトラックの使用が即日で認められ、映画の主題歌として「アメイジング・グレイス

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 Balot」が完成した。TBS系情報番組「情報7daysニュースキャスター」(土曜午後10時)のオープニング曲「Look

 hard」などを手がける作曲家コーニッシュ氏(29)によるアレンジは、1番はボーカルをほぼそのまま生かしたアカペラで、2番から映画の世界観に合う音楽を付けた味わい深いものとなった。

 本田さんを03年にクラシック挑戦へと導いた岡野博行プロデューサーは、公開日を知った際に因縁を感じたという。「彼女の声を大事にしたいという思いが伝わってきて、ぜひ使っていただきたいと思った。公開日が命日なのにはビックリしました。この曲は彼女がクラシックを歌う際に一番最初に決めた、もともと因縁の深い曲なんです」。

 同プロデューサーは試写を見て「肉感のある生々しい歌声が最後に流れることで、アニメに人間味が出た。彼女もきっとうれしいと思う」と感慨深げに話した。また主人公バロットを演じる声優林原めぐみも「映画の最後に響き渡る彼女の声だけで、鳥肌と涙。なぜこの人の声を忘れていたんだろうと、悔しくなるほどでした」と感激した。6日には未発表プライベート映像も入った永久保存盤「本田美奈子.

 コンプリート・クラシカル・イヤーズ」も発売する。当日は日本全国に本田さんの歌が響き渡る命日となりそうだ。【村上幸将】