このページの先頭



ここから共通メニュー

共通メニュー


ホーム > 芸能 > シネマ > ニュース



大杉漣、製作費500万円「棚の隅」に主演

 俳優大杉漣(54)が、製作費500万円の自主映画「棚の隅」(門井肇監督、来年春公開)に主演した。北野武監督作品に欠かせないように億単位を費やす大作に出演する一方で、自主製作作品にも顔を出し、出演作は300本を超えた。決め手はあくまでも脚本の魅力だとし「枠や垣根はつくらない。『大杉漣』としてどういう映画をやっていくかが大切」という撮影現場を訪ねた。

 出演本数にちなみ「300の顔を持つ男」と呼ばれる大杉の今度の顔は、小さな玩具店を営む男だ。妻と息子、前妻の物語で、大杉いわく「何も起きない話」だが、その淡々とした雰囲気に、映画になった時の魅力を感じたと、脚本の魅力を語った。「セリフで説明するんじゃなく、映像で説明するところが映画的だなと思ったんです」。オファーを受けてから、正式な返事をするまでに10カ月近くかかったが、スケジュールの問題だけで、脚本を読んだ時点でやりたい気持ちは固まっていた。

 8年ほど前にも自主映画に出演した。新潟県の高校生が作った作品に出演したこともあった。朝起きたらカラスになっていたサラリーマン役で、セリフは「カァ」。斬新な脚本に引かれたという。高校生の映画に出演というエピソードからは、手弁当とかボランティアなどという言葉を想像させるが、「そんな美しい話じゃないんです。僕は自主映画とかバジェット(製作費)の大小とか、共演者がどうとか、そういうことは関係ないんです。枠や垣根はつくってこなかったつもり。役者として『大杉漣』としてどういう映画をやっていくかが大切」ときっぱり話した。

 出会いや直感も大事な要素だという。「棚の隅」とは、出演オファーを受ける前に、いろいろな伏線があった。数年前、門井監督(33)がいた映画学校「ニューシネマワークショップ」で講義を行い、大勢の学生と打ち上げをした時、門井監督が「何か作る時は出ていただけますか」と出演依頼していた。大杉は覚えていないが、その場で「いいよ、いいよ」と返事をしていた。

 門井監督をはじめ、自主映画製作チーム代表の小池和洋プロデューサー(32)ら、現場は20代、30代の若いスタッフが多い。大杉に教えを請いたいスタッフも多いが、大杉の最優先事項はやはり作品だ。「ここは物を作る場。むき出しの思いをぶつけ合えばいい」。キャリアや年齢にもこだわらない言葉は、作品選びの原点を失わない「大杉漣」のこだわりだ。【小林千穂】

[2006年6月15日8時7分 紙面から]

関連情報

最新ニュース

記事バックナンバー



このページの先頭へ