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奥田瑛二、家族で“撮”ったグランプリ
- 99年、ファッションショーに出演した奥田瑛二ファミリー
俳優奥田瑛二(56)の監督作品「長い散歩」が5日、第30回モントリオール世界映画祭で、最高賞のグランプリ、国際批評家連盟賞、エキュメニック賞の3冠を獲得した。日本作品のグランプリは、82年「未完の対局」(佐藤純弥監督)以来2作目。初老男性と少女の自己再生への旅を児童虐待をテーマにした同映画は、奥田の長女桃子さん(24)が助監督を務め、妻の安藤和津(58)と二女の安藤サクラ(20)も企画・立案、脚本に携わった。
奥田は3冠の瞬間を安藤と桃子さんとともに授賞式会場で迎えた。盛大な拍手の中、審査委員長の女優キャシー・ベイツから同映画を高く評価されたことを知らされると、興奮はピークに達した。映画祭に参加以来、市民から街中で声を掛けられる機会が多く、手応えは感じていた。最高の評価に「世界中のみんなが本当の優しい愛を欲しがっている。それをモントリオールで立証できたことは、この上ない喜びです」とあいさつした。
感激の瞬間、サクラは東京・THEATRE1010で舞台「ソフィストリー」に出演していた。所属事務所が快挙を伝えたが「たいへん喜んでましたが、まだまだ新人で舞台に集中させたいので、コメントは差し控えたい」(同事務所)と、すぐに目の前の仕事に集中した。
映画は、仕事に厳格だった高校の元校長が妻をアルコール依存症で亡くし、そのつぐないから、隣家で虐待を受けていた5歳の少女を連れて旅する物語。元校長は緒形拳(69)、少女を虐待する母親役に高岡早紀(33)が演じた。
奥田が家族への思いをぶつけた作品だった。監督3作目は社会派映画を作ろうと、児童虐待をテーマに原案を考えた。全国の児童施設も訪れた。当初、入所者の口は重かったが、何度も通ううちに心を開いてくれるようになった。
家族の意見も求めるうちに夫、妻、子供、それぞれの目線から「家族」を描くことにした。和津夫人は脚本に協力し、女優業を開始した二女のサクラも意見を出した。長女の桃子さんは、助監督の立場で映画に携わった。ロケ地に自分の母の故郷、岐阜県を選び、昨秋撮影した。
奥田家がきずなを深めた同映画は12月、東京・渋谷Q-AXシネマほかで公開。来年正月以降、全国で順次公開される。
[2006年9月6日8時23分 紙面から]
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