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凛子オスカー逃す「また始まります」

 【ロサンゼルス25日(日本時間26日)=千歳香奈子通信員】第79回アカデミー賞授賞式がコダックシアターで行われ、「バベル」で助演女優賞にノミネートされた菊地凛子(26)は受賞を逃した。49年ぶりの日本人俳優のオスカー受賞はならなかったが、無名の遅咲きは最高峰をステップにハリウッド女優の道を歩み始めた。

 「バベル」でヘアヌードを披露しても平然と「大したことじゃない」と言い切れる強心臓が緊張していた。「今朝は目玉焼きを半分しか食べられなかった」と本音がこぼれた。助演女優賞のプレゼンター、ジョージ・クルーニーが読み上げたのは本命とされた「ジェニファー・ハドソン」。瞬間、菊地は小さくため息をついた。58年「サヨナラ」のナンシー梅木以来の快挙を逃したが、すぐに笑顔で祝福の拍手を送った。

 「広くて長くて。大変でした」と話したレッドカーペット以上に、ここまでくる道のりは長かった。99年にデビューもヒット作に恵まれなかった。注目されたのは日本より米国が先だった。昨年夏から秋にかけて、USAトゥデーなど米有力紙が演技を絶賛。日本では昨年末からゴールデングローブ賞など各賞にノミネートされるようになり、名前が挙がるようになる。主な経歴として「パソコンCMでキムタクと共演していた女優」と紹介され、思い出す人がいるかいないかのレベルだった。

 生活は激変した。それまでは、海外の仕事はマネジャー不在で、取材用のメーキャップは自分でしていた。各賞の授賞式など想像もできず、映画撮影の予定を入れていた。ところが、各賞への参加が続き、最近の睡眠時間は約3時間。日本から現地入りする関係者に「おかゆや漢方薬を」と頼むようになった。

 3月下旬には、ハリウッド次回作「ザ・ブラザーズ・ブルーム」の撮影に入る。エイドリアン・ブロディやレイチェル・ワイズらアカデミー賞俳優と共演。一気にハリウッド俳優の仲間入りを果たした。シャネルから提供を受けるようになった衣装の中から、授賞式は「今後の1歩だという強い意志で」黒いロングドレスを選んだ。「この映画に2年間かかわった。オスカーが卒業式でうれしい。これで完ぺきに『バベル』を卒業しました。ここで終わり、また始まります」。アメリカンドリームをつかんだ。

[2007年2月27日8時46分 紙面から]

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