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映画とギャグで日本を明るく植木さん

 「クレージーキャッツ」のメンバーとして高度成長時代に爆発的な人気を博したコメディアンで俳優の植木等さんが27日午前10時41分、都内の病院で呼吸不全のため亡くなった。80歳。

 俳優として歌手としてクレージーキャッツの中で特別の存在感を誇った植木等さん。「小学校の時から見ていました」という映画評論家の寺脇研氏(54)に「俳優・植木の魅力とは何だったのか」を聞いた。

     ◆

 1960年代の終わりに渥美さんの「男はついらいよ」シリーズが始まりますが、それまで日本のコメディー映画は東宝の「無責任シリーズ」であり「日本一シリーズ」だったんです。

 もちろん、その中心に植木さんがいた。彼は国民的喜劇俳優だった。当時はお正月、お盆、それにゴールデンウイークと、順番にこのシリーズがかかっていたように記憶しています。年に3回も4回も、スクリーンで会えるいい男でした。

 ちょうど、高度経済成長期と重なり、日本の明るさや夢を、彼がスクリーンの中でも表現していったんじゃないですか。

 彼の最大の魅力は今でいう歌って踊れるミュージカル俳優ですが、それだけじゃない魅力があった。

 それは一言でいうと「スマートさ」かもしれません。スイ、スイ、スイと「スーダラ節」の歌通りに映画の中でも出世していくんですが、その調子の良さがなぜか嫌みに見えない。

 サラリーマン・木下藤吉郎みたいな役もやっていましたが、これも嫌みを感じさせない。彼の家がお寺さんであることや、戦争を体験されていることなど、まぁ、いろいろ背景はあると思いますが、そういったスマートさがなければ、あそこまでの映画シリーズを若くして背負うことはできなかったと思います。

 1つ残念なことは、晩年、テレビでは、個性的ともいえる名優ぶりを発揮されていましたが、映画では、強烈なシリーズものを過去に持ったぶん、その印象が強すぎたのでしょうね。特別印象に残る作品に恵まれなかったのではという気がします。心よりご冥福をお祈りします。

[2007年3月28日8時22分 紙面から]

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