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岸恵子が戦争体験8分間独り語り

岸惠子(左)にカーネーションを渡す窪塚洋介
岸惠子(左)にカーネーションを渡す窪塚洋介

 日本映画などの話題作が公開初日を迎えた12日、出演者たちが都内の各劇場で舞台あいさつに立った。石原慎太郎都知事(74)が製作総指揮・脚本を手掛けた戦争映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」では岸惠子(74)が壮絶な空襲体験を熱っぽく語り観客の涙を誘った。ハリウッド人気シリーズの最新作の公開日と重ならない好条件の日とあって、邦画8本が一斉に封切られた。

 岸は1人で舞台に立ち、脳裏に焼き付く体験を8分間にわたり語りかけた。1945年(昭和20年)5月29日の横浜大空襲。12歳だった岸は母の言いつけでぬれた布団をかぶって家を飛び出した。周辺はあっという間に火の海に。泣き叫び、焼けていく人々。飛び交う怒声や悲鳴。おびただしい死体の焼けたにおい。臨場感あふれる話に満員の観客は聞き入り、すすり泣きも響いた。「いかに不条理な戦いだったのか思い知らされました。戦争は本当に嫌なものです」。

 独り語りは岸の強い希望だった。映画は特攻隊員の悲劇と青春を描く群像劇。岸は飛行訓練基地近くで食堂を営み、隊員から母のように慕われた実在の女性役。スタッフ、出演者でただ1人の戦争体験者だった。実体験をもとにじっくり話をしたいと、徳重聡(28)窪塚洋介(28)ら特攻隊員役の若手俳優のあいさつ後に1人で舞台に立った。「歴史をひもとかない国に良い明日はないと思います」と結ぶと大きな拍手が沸き起こった。13日は「母の日」。イベント締めくくりで徳重らからカーネーションを受け取り「若い人たちに見てほしい」と笑顔を見せた。

[2007年5月13日8時47分 紙面から]

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