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阿部寛さえないダメ男役で主演

 個性的な役柄を演じ分けて人気の阿部寛(43)が今度は「さえないダメ男」になる。世界的評価を受ける是枝裕和監督(45)の新作映画「歩いても 歩いても」の主演を務めることが7日、分かった。

 長男の命日に集まった家族のやりとりをコミカルに描きながら、それぞれの心情を浮き彫りにしていくホームドラマ。「誰も知らない」で柳楽優弥(17)をカンヌ映画祭の史上最年少主演男優賞に導き、「花よりもなほ」で岡田准一(26)の新境地を開くなど高い演出力を持つ同監督から「みっともないところを撮ってみたい俳優」としてさえない性格の主人公役に指名された。阿部は「うれしいですね。何も際立つものがない本当にさえない男です。今までやってきた演技を離れ、余計な力を抜いて演じられたら」という。

 父は開業医だったが後を継ぐこともなく、今は失業中。子連れの女性と結婚するが、実家とは距離を置いている。いつもタイミングを見失っている人生を送ってきた。兄の命日に帰郷したが、ややこしい話になると逃げ出そうとする情けない男だ。阿部は初タッグとなる同監督を「新しい発見をさせてくれる確信があります」と全面的に信頼している。俳優として外見は二枚目ながら、独特の存在感で幅広い役柄をこなしてきた。出てくるたびに異なるイメージを打ち出す“怪優”ぶりから映画やドラマで引っ張りだこ状態が続いている。同監督は「アイデアが豊かな俳優さんです。これまで見たことがないような格好悪いところを逃げずに、みっともなく撮ります」と話している。樹木希林、原田芳雄、夏川結衣、YOU、寺島進ら個性派が共演。現在撮影中で来年公開。

[2007年8月8日8時10分 紙面から]

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