2012年2月に急死した歌手ホイットニー・ヒューストンさんの娘ボビー・クリスティーナ・ブラウンさんが、7月26日に22歳と言う若さで亡くなった。ブラウンさんは、歌手ボビー・ブラウンとヒューストンさんとの間の愛娘。今年1月31日に米ジョージア州アトランタの自宅浴槽でうつ伏せの状態で意識不明で発見され、病院で治療を受けていたものの脳の損傷が激しく、回復の見込みがないことから6月にホスピスに転院していた。ここ数日間、叔母が自宅を片づけてヒューストンさんの遺品を運び出したことが発覚するなどし、最期が近いと報じられていた。

 今年4月には父ブラウンがコンサートで、娘がこん睡状態から目を覚ましたと報告していたが、実際には一度も目を覚まさぬまま亡くなったという。ホスピスではブラウンを始めとする家族が付き添い、静かに横たわるベッドの横にはヒューストンさんの写真が飾られていたという。家族によると、最期は家族に囲まれて静かにその時を迎えたという。「ようやく神の手の中で安らかに過ごしています。この数カ月間の皆さんからの沢山の愛と支援に感謝しています」とコメントしている。

 ヒューストンさんは滞在中のホテルの浴槽でうつ伏せの状態で溺死しているのが発見され、司法解剖の結果、コカイン摂取による心臓発作であることが判明。そのわずか3年後に娘も同じ状態で発見されたことから、その原因を巡って様々な憶測が囁かれていた。ヒューストンさん同様に薬物の過剰摂取による事故、母の死を克服できずに精神的に不安定だったことによる自殺、そして長年の恋人で夫とも言われたニック・ゴードン氏による殺人未遂説も浮上。警察が捜査していたが、未だに原因は判明していない。

 ゴードン氏は12歳の時にヒューストンさんに引き取られ、養子縁組はしていなかったものの実の子供同様に育てられ、ブラウンさんとは兄妹のように育ってきた人物。ヒューストンさんの死後、2人は交際していることを明かし、「近親相姦」などと陰口を叩かれたが、13年夏に婚約を発表。翌14年には結婚したとツイッターで告白し、「最高の夫」とコメントしたために2人は結婚したと思われていた。しかし、実際に2人の間に婚姻関係がなかったことが発覚し、第一発見者でもあるゴードン氏による度重なる暴力も取りざたされたことなどから、殺人未遂容疑がもたれている。一方、ブラウンさんの家族は、ブラウンさんの体に複数の傷があったことなどから、ゴードン氏による家庭内暴力があったと主張。ゴードン氏が秘かにブラウンさんの口座からお金を盗み、暴行を加えていたとし、民事訴訟を起こしている。

 立て続けに母娘がまるで同じような死に方をしたことは、米社会に大きなショックを与えている。ヒューストンさんの死に関しては未だに謎めいた部分も多く、他殺説も根強くささやかれているだけに、ブラウンさんの死を巡っても今後新たな論争が巻き起こりそうだ。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)