前週はディズニーファンのための公式イベント「D23」を現地からレポートしましたが、今週はそこで発表された新作ラインアップをまとめてお伝えします。D23の最大の目玉は、7500人収容の大ホール「ホール23」で行われるウォルト・ディズニー、マーベル、ピクサー、ルーカスフィルム、ウォルト・ディズニー・アニメーションの新作発表会です。毎回サプライズでスターが登場し、予告編の公開や新作情報などが次々と発表されるとあって、今年も徹夜組が出る盛り上がりとなりました。

 初日はウォルト・ディズニーとピクサーという2つのアニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを兼任するジョン・ラセターによる、両スタジオの新作ラインアップの発表が行われました。「アナと雪の女王」「ベイマックス」とヒットが続いているウォルト・ディズニー・アニメーションは、2016年公開の2作品を紹介。2016年3月公開予定の最新作は、動物が主人公となる「ズートピア(原題)」。動物が人間のように暮らす架空の都市ズートピアを舞台にしたコメディで、お調子者の詐欺師キツネとウサギの新人警官が主人公で、「塔の上のラプンツェル」のバイロン・ハワード氏が監督を務めます。もう1作は、2000年前のポリネシアンを舞台に少女モアナが伝説の島を探す大航海に出る「モアナ(原題)」で、こちらは2016年秋の公開予定です。「アラジン」や「リトル・マーメイド」のロン・クレメンツ氏とジョン・マスカー氏の監督コンビによる初のCG映画となります。さらに、「ジャックと豆の木」をテーマにしたミュージカル作品「ジャイガンスティック(原題)」が、2018年に公開されることも発表されました。こちらは、「アナと雪の女王」の楽曲「Let It Go」でアカデミー賞を受賞したロバート&クリステン・アンダーソン・ロペス夫妻が音楽を担当するとのことで、ファンの期待も高まっています。

 今夏は「インサイド・ヘッド」を公開したピクサーは、秋に恐竜と少年の友情を描く最新作「アーロと少年」の全米公開が控えています。そして、16年には、「ファインディング・ニモ」(03年)の続編「ファインディング・ドリー」を公開することを発表。前作に登場したマーリンやニモと一緒に暮らしていたドリーが突然、家族のことを思い出して両親を探す旅にでるストーリーになるそうです。他にもウッディとボー・ピープのロマンスを描く「トイ・ストーリー4」の制作が進められていることや、メキシコの伝統的な死者のお祭りをテーマにした新作「ココ(原題)」の映像も発表されました。

 2日目は、実写映画の新作発表会が行われました。ディズニーは09年にマーベル、12年にはルーカスフィルムを傘下に収めており、ウォルト・ディズニーを含めて3つのスタジオの作品のラインアップがまとめて紹介されました。「スター・ウォーズ」シリーズに関しては、「エピソード9」に「ジュラシック・ワールド」のコリン・トレボロウ監督が起用されたことが発表された以外は、来年公開予定のシリーズ初のスピンオフ「ローグ・ワン」の新ビジュアルが初公開されました。

 マーベル作品からは、2016年公開予定の「キャプテン・アメリカ」シリーズ第3弾の予告編が初公開され、「アベンジャーズ」に登場するキャラクターたちも登場することが明らかになり、ドイツで撮影中のキャプテン・アメリカを演じるクリス・エバンズとファルコン役のアンソニー・マッキ-が登場し、会場のボルテージも最高潮となりました。さらに、「ドクター・ストレンジ(原題)」についても詳細が発表され、主演のベネディクト・カンバーバッチのビデオメッセージと共に、コンセプトアートをつなげた映像も初お披露目されました。こちらは2016年秋に全米公開予定です。

 ウォルト・ディズニーの目玉発表は、オオカミに育てられた少年を動物たちが人間社会に戻そうとする「ジャングル・ブック」。ポスターのビジュアルと映像が初解禁された他、主人公の少年モーグリ役のニール・セシ、声優として出演するベン・キングズレーとルピタ・ニョンゴ、ジョン・ファブロー監督がステージに登場しました。他にも、10月公開予定の、1952年に起きた海難事故を映画化した実話「ファイネスト・アワーズ(原題)」の予告編が公開されて主演のクリス・パインが登場するなど、次々と新作情報が発表されました。2016年は、アニメと実写を融合した「ピートとドラゴン」(77年)のリメイク、ジョニー・デップ主演の「アリス・イン・ワンダーランド」、ウガンダからチェスの世界大会に出演した少女を描いたニョンゴ主演の「クイーン・オブ・カトゥウェ」などが公開されることや、それぞれの最新情報などが発表されました。また、17年公開予定の新作からは、デップ主演の「パイレーツ・オブ・カリビアン」最新作にウィル・ターナー役のオーランド・ブルームが復帰することや、クランクアップ直前のロンドンのスタジオから「美女と野獣」の実写版に主演するエマ・ワトソンのビデオメッセージも届くなど、16年~17年にかけてディズニーは話題作が盛りだくさんで乞うご期待です!

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)