今夏のハリウッドは、空前の大ヒットとなった「ジュラシック・ワールド」が断トツ1位の興行で話題を独占しましたが、そろそろ秋から年末にかけての注目作のラインナップが出そろう季節となってきました。今年前半は「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」や「ワイルド・スピード SKY MISSION」「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」など大作がヒットしましたが、今年後半の期待度NO・1は何と言っても「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」でしょう。

 1979年に公開された「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」から36年経った今も大勢のファンに愛されている本シリーズは、2005年に公開された「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」で新3部作が完結してから10年ぶりの新作。今もその人気はとどまることを知らず、ファン待望の新作は間違いなく今年最大の注目作です。「ジュラシック・ワールド」が樹立した歴代オープニング記録の2億880万ドルを抜き去ることは確実視されており、「アバター」の持つ歴代1位の記録にどこまで迫れるのかが注目されています。

 ファンに愛され続けているシリーズ作品としては、「007」の最新作も見逃すわけにはいきません。シリーズ24作目となる「007/スぺクター」は、ジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグにとっては4作目。今作はメキシコのお盆とも言われる伝統的な祭り「死者の日」が舞台となります。世界に8台しかないアストンマーティンDB18の特別仕様のボンドカーを使って夜のイタリア・ローマ市街地を封鎖して撮影された激しいカーチェイスや雪山でのヘリコプターと雪上車のチェイス、テムズ川でのボートチェイスなどアクションシーンも満載。クリストフ・ヴァルツ、モニカ・ベルッチら豪華メンバーが新キャストに名を連ねており、今作も期待が持てそうです。

 シリーズ作以外でも注目作が沢山あります。アメリカ航空宇宙局(NASA)による人類の火星移住プロジェクトが進められていますが、9月にはアンディ・ウィアーの人気小説「火星の人」を映画化した火星サバイバル映画「オデッセイ」が公開されます。もし人類が火星に取り残されてしまったら? そんな恐ろしいストーリーを基に、マット・デイモン主演でリドリー・スコット監督がメガホンをとった注目作です。実話物では1996年に起きた世界最高峰のエベレストを舞台にした登山家たちの壮絶なサバイバルを描いた「エベレスト3D」と、地上411mの高さにあるワールド・トレード・センターを世界でただ一人綱渡りした男性を描いた「ザ・ウォーク」は期待大です。

 他にも、ピーター・パンの実写映画「PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~」は、ピーター・パンを新たな観点で描いたファンタジー超大作で、ヒュー・ジャックマンが悪役の海賊黒ひげを演じていることも話題に。マイケル・ファスベンダーがアップル社の創設者であるスティーブ・ジョブズ氏を演じた「スティーブ・ジョブズ」、アンジェリーナ・ジョリーがメガホンをとり、ブラッド・ピットと10年ぶりとなる共演を果たした「バイ・ザ・シー」なども今秋の注目作品です。

 ハリウッドはこれから残り4カ月、来年のアカデミー賞に向けた賞レースが幕を開けることになります。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)