ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー離婚の一報が飛び込んできたのは先週のこと。今年に入ってからタブロイド紙で不仲説が何度か出ていましたが、ハリウッドきってのおしどり夫婦で、6人の子供を育てる2人がまさか離婚するとは驚きでした。しかも、その後に「ピットがアルコールと大麻を常習し、怒りっぽい性格が子供に悪影響」「ピットが子供に手をあげた」といった報道が出たときは、果たして本当なのだろうかと耳を疑いました。メディアから伝わる子煩悩なピットのイメージからは想像もつかず、ましてや泥酔して子供に手をあげるようなことがあったとは考えられないと思う人も少なくないと思います。

 ジョリーが19日に「和解し難い不和」を理由に離婚を申請したことから始まりました。ジョリーの弁護士は「家族のため」とだけ説明し、離婚を決意した理由は明かされていません。ジョリーは養子を含む6人の子供全員の単独親権だけを求めており、養育費や配偶者サポートなど金銭面の要求は一切していません。ピットは離婚申請は寝耳に水で、驚きとショックを隠せないといわれています。また、ピットは離婚に際し、まずは子供たちのことを一番に考え、公にせずにひっそりと早急に解決をさせるべきだとジョリーに提案したが無視されたとの報道もありましたが、離婚を公にしたことで世界中が知るところとなり、その後はメディアによる報道合戦が勃発。ピットの虐待や気性の荒さ、今秋全米公開される映画「マリアンヌ」で共演した仏女優マリオン・コティヤールとの不倫が離婚原因になったと報じられるなど、ピットに不利な情報が次々と伝えられています。そしてついに、ジョリーが別居したとされる前日の14日にプライベートジェット機の中で泥酔したピットがマドックス君に身体的虐待行為をしたと報じられたのです。この一件はLA郡家庭児童福祉機関(DCFS)に通報され、米連邦捜査局(FBI)も調査に乗り出したと伝えられています。その後はマドックス君にケガがないことなどから虐待を立証することは難しいともいわれていますが、ジョリーが求める単独親権を裁判所に認めさせるためには、ピットが子供を危険にさらしているという事実を証明することが必要。そのため、ジョリー側が決定的な証拠を握っており、今後の裁判でそのカードを切ってくる可能性もあり、さらなる泥沼離婚へと発展していくことは避けられないでしょう。

 ところで、今回の離婚劇は最近どこかで聞いたような話だなと思いませんか。アンバー・ハードから家庭内暴力(DV)を告発されて突然離婚を申請されたジョニー・デップです。その後も携帯電話を投げつけるなど暴力を振るう動画が流出したり、泥酔したデップがワインのボトルを窓に投げつけるなど暴れる様子が報じられた一件は記憶に新しいことでしょう。多くの人がデップは暴力を振るうような人間ではないと擁護し、ハードにはめられたとコメントしていましたが、互いを傷つけあうネガティブ報道合戦でデップもイメージダウンは免れず、多くのものを失いました。そして今回の裁判でジョリーの弁護を担当しているのは、ハードに和解を認めさせたデップの敏腕弁護士。突然の離婚申請に虐待疑惑や暴力的性格の浮上、さらにピットの関係者が虐待疑惑はジョリーの悪意のある嘘であるとコメントするなど、どこかデップとハードの裁判をほうふつさせます。

 ジョリーは映画「ツーリスト」(10年)で共演したデップに離婚について相談していたとの報道もありますが、かつては「ブランジェリーナ」と呼ばれ、世界中の憧れだったカップルが、今後どのような離婚劇を演じるのか注目です。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)