今年も多くのハリウッドスターが自撮りや貴重なプライベートショットをインスタグラムなどSNSに投稿し、多くのファンを楽しませてくれましたが、同時に気軽に投稿した動画や写真が犯罪に絡むような重大な問題に発展した年でもありました。

 SNSの投稿でプライベート情報が拡散されて犯罪に巻き込まれたのが、リアリティー番組の女王といわれるキム・カーダシアン。今年10月に滞在していた仏パリのホテルの部屋に強盗が押し入り、1000万ドル相当の金品を強奪される被害に遭いました。夫のカニエ・ウエストから贈られた400万ドル相当のダイヤの指輪など装飾品を身につけて出歩く様子などを自撮りしてはインスタグラムにアップしており、滞在場所の特定は容易で、高価な装飾品を盗んで下さいと言っているも同然だとの声もあり、無防備な行動には批判もありました。銃を突きつけられて縛られるもカーダシアン本人にケガはなかったのが不幸中の幸いでしたが、本人のショックは相当で、その後は自宅に引きこもり状態になったといわれ、事件後はさすがにSNSも休止しています。

 ロサンゼルス郊外マリブに所有する自宅に何者かが侵入して、警備員を負傷させる事件が起きたのはミランダ・カー。事件当時、自宅にはカー本人も息子もいなかったため無事でしたが、警備員が顔を切りつけられ、犯人も頭を撃たれて重傷を負いました。カーはこの自宅の写真をインスタグラムで公開しており、ちょっと調べれば場所を特定するのはさほど難しいことではなかったといわれており、セキュリティーの甘さを指摘する声も。カーは事件の数カ月前にスナップチャットのCEOと婚約したことをインスタグラムで明かし、大きなダイヤの指輪を披露していただけに、強盗目的で侵入した可能性も取りざたされています。

 ディズニ-のドラマ「ハイスクール・ミュージカル」などで知られるヴァネッサ・ハジェンズは、今年のバレンタインデーの週末を利用して恋人と一緒に出かけたアリゾナ州のココニーノ国立公園内にあるレッド・ロック・レンジャー管轄区で、園内の岩に2人の名前を彫った写真をインスタグラムに投稿。これを見たフォロワーの通報で、米国内の自然にダメージを与えるという違法行為が発覚し、連邦法違反の容疑で調査を受ける事態に発展しました。半年の禁錮刑または5000ドルの罰金を支払う可能性があると伝えられましたが、十分に反省したハジェンズはその後、捜査にも協力して罰金1000ドルを支払うことで一件落着。ラブラブな旅が残念な結果となったことは言うまでもありません。

 何かとお騒がせなジャスティン・ビーバーも、今年4月に父親の婚約パーティーでベンガルトラとのツーショットをインスタグラムに掲載して炎上する騒ぎになりました。動物の虐待という理由のみならず、動物の倫理的扱いを求める会(PETA)から批判され、撮影されたカナダ・トロント市の動物局からも苦情を受ける騒動になりました。ビーバーはその後、度々インスタグラムが炎上するなどの騒ぎがあったことから、アカウントを閉鎖する事態となりました。

 ジャスティン・ティンバーレイクは、10月末にテネシー州の投票所で自撮りした写真をインスタグラムに投稿して「投票に出かけよう」と呼びかけたことがテネシー州の選挙法に抵触する可能性があるとして、当局が捜査に乗り出す事態に発展しました。同州では有権者が投票所内で写真やビデオを撮影したり、録音することが禁じられており、有罪となった場合は最大で30日の禁錮刑と50ドルの罰金が課せられる可能性も取りざたされていました。

 今やインスタグラムやツイッターで日常を発信するのは当たり前のようになっており、インスタグラムをやっていないセレブを探すのが困難なくらいです。しかし、頻繁に居場所が特定できるような投稿をしたり、高価な装飾品を見せびらかすのは危険だということを再認識するべきだと専門家は警告しています。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)