アカデミー賞の前哨戦として知られる第74回ゴールデン・グローブ賞の授賞式が8日、ロサンゼルスのビバリー・ヒルトン・ホテルで行われ、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」が作品賞、監督賞などノミネートされた全7部門を制する快挙で、同賞史上最多受賞を達成しました。主演の俳優ライアン・ゴズリングと女優エマ・ストーンもダブル受賞を果たし、24日に発表されるアカデミー賞ノミネートに大きな弾みをつけましたが、今年もさまざまなハプニングでテレビ中継を見ていた人たちを楽しませてくれました。

 ゴールデン・グローブ賞は数ある映画賞授賞式の中でもカジュアルな雰囲気で知られています。映画界で最も権威のある賞として知られるアカデミー賞とは違い、授賞式は出席者たちが丸いテーブルを囲んで食事やお酒を楽しみながら進行する形式のため、賞発表が進むにつれてお酒がまわって陽気になったスターが思わず見せる素顔も注目の的。そんな今年のゴールデン・グローブ賞のハイライトを振り返ってみました。

 「ラ・ラ・ランド」で主演男優賞を受賞したゴズリングは、スピーチでは2016年に結婚した女優エヴァ・メンデスへの感謝に多くの時間を割き、会場からはうっとりするような声も上がりましたが、そのゴズリングがステージに向かう際にカメラが偶然とらえたのが、アンドリュー・ガーフィールドとライアン・レイノルズの熱いキス。イケメン俳優2人の熱烈キスシーンは、さっそくSNSでも話題を集めました。

 同じく「ラ・ラ・ランド」で主演女優賞に輝いたストーンは、「これは夢を追い求めている人たちへの映画。自分を信じてあきらめないで」と涙ながらに語りかけましたが、会場では元恋人のガーフィールドと再会し、親しげに話す様子などが目撃されています。

 プレゼンテーターとしてステージに登場したヒュー・グラントが、なんと「今夜の受賞者」とフライングで紹介されるハプニングも。グラントは「マダム・フローレンス!夢見るふたり」で主演男優賞にノミネートされていただけに、フライング発表かと驚いた人も大勢いましたが、単なるアナウンスミスだったことが分かり、会場も笑いが起こる和やかな雰囲気となりました。その後、同賞はゴズリングが受賞しました。

 ハリウッドの映画賞ではスピーチで社会的なメッセージを披露するスターも少なくありませんが、映画界に貢献した人に贈られる功労賞セシル・B・デミル賞を受賞したメリル・ストリープは、ドナルド・トランプ次期大統領をチクリと批判。名指しこそしなかったものの、「ハリウッドはアウトサイダー(よそ者)や外国人だらけで、彼らを全員追い出したら、テレビではアメリカンフットボールと総合格闘技しか見られなくなるわ」とトランプ氏の掲げる移民排外政策を批判。過去に障害のある男性記者をあざけるような態度をとったことにショックを受けたことにも触れ、差別と暴力反対を訴えました。そして最後は、昨年12月27日に死亡したキャリー・フィッシャーさんの残した「傷ついた心を芸術に生かしなさい」という言葉で3分半に及ぶスピーチを締めくくりました。

 多くのスターが出席した今年の授賞式も大いに盛り上がりましたが、24日にはいよいよアカデミー賞の各候補が発表されます。