日本では芸能人が政治的な発言をしたり、デモ活動に参加することはめったにありませんが、ここハリウッドではスターが政治に関する自分の意見を明確に述べたり、政治活動に積極的に参加することは珍しくありません。20日にドナルド・トランプ新大統領就任を受け、翌21日に行われた抗議デモにも大勢のスターが参加しました。この日は首都ワシントンDCをはじめ、ロサンゼルスなど全米各地で女性の権利を訴える抗議デモ「ウーマンズ・マーチ(女性大行進)」が行われ、ビッグスターたちがステージに登場して演説したり、一般女性と共に行進する様子をインスタグラムに投稿したりしています。

 ワシントンDCのデモには、就任式に集まった観衆よりも多い50万人以上の人々が参加。その中には、マドンナやスカーレット・ヨハンソンやケイティ・ペリー、ジュリア・ロバーツ、アリシア・キーズらの姿も。ステージに登場してパフォーマンスを披露したマドンナは、禁止用語「ファック・ユー」を連呼。「ホワイトハウスを爆破することも考えた。でもそれでは何も変わらない」と怒りをぶちまけました。また、10万人以上が参加したといわれるロサンゼルスのデモでも、ナタリー・ポートマンやマイリー・サイラス、ヴァネッサ・ハジェンズらの他、昨年末に出産したばかりの第2子を連れたピンクの姿も。また、ヘレン・ミレンはニューヨークでデモに参加し、シャーリーズ・セロンは映画祭に出席するために滞在中のユタ州パークシティで抗議デモにそれぞれ参加するなど、大物女優たちも自らの声で世間を動かそうと行動しています。それぞれその様子をSNSに投稿し、選挙戦中から女性軽視の発言が多いトランプ新大統領への抗議をしていますが、デモに参加できなかったスターたちもウーマンズ・マーチ支援を表明しており、大きなムーブメントとなっています。

 また、就任式前夜にはニューヨークでロバート・デ・ニーロ、マイケル・ムーア、アレック・ボールドウィンらも反トランプ集会を行い、大勢の人を集めました。また、クリス・ロックが「今晩は時計の針を300年前に戻すことを忘れないように」と就任式の夜にツイートしたり、ビヨンセがオバマ前大統領夫妻の写真と共に「ありがとう」のメッセージを添えるなど、たくさんのスターたちがそれぞれの思いをSNSで表しています。選挙戦中から人種差別や女性軽視的な発言を繰り返し、移民排除や米国第一主義を掲げるトランプ大統領への抗議は今後も広がっていくことでしょう。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)