今アメリカでは「Selfie(自分撮り)」が流行語大賞になるほど、自撮りがブームになっています。社会現象ともいえる自撮りは、ハリウッドスターたちをも席巻。多くのスターが、毎日のようにインスタグラムやツイッターなどSNSで自撮り写真を公開。それらは、瞬く間に拡散され、ファンのみならず多くの人たちがネットで日々目にする機会が増えています。


 最近もマドンナが腕をあげてわき毛が生えた腕の下を見せる自撮りを公開したり、自撮り中毒と言われるほどハマっているジェームズ・フランコが、インスタグラムで自分との自撮り写真を送ってきた未成年の女の子をSNSでナンパした内容が流出したりと、話題を振りまいています。


 そんなブームを巧みにビジネスに利用する機会も増え、物議を醸しています。今年3月に行われたアカデミー賞授賞式で、司会のエレン・デジェネレスの呼びかけでブラッド・ピット、メリル・ストリープ、アンジェリーナ・ジョリー、ジェニファー・ローレンス、ブラッドレイ・クーパーと言った豪華スターが大集合した自撮りが、ツイッターに投稿され、世界最高リツイート記録を樹立したことを記憶に新しいところ。


 しかし、この豪華な自撮りは実はサムスンがギャラクシーノート3をPRするために仕組んだ演出だったことが判明し、大バッシングを浴びました。そんなサムスンは今度はホワイトハウスを訪問した大リーグの昨年の王者レッドソックスのスター選手とオバマ大統領の自撮りを仕組んで宣伝に利用したとして大きな波紋を広げています。


 レッドソックスの選手たちがホワイトハウスを表敬訪問した際に、ワールドシリーズの最優秀選手(MVP)に輝いたデービッド・オルティス選手がユニホームを手渡し、その記念としてオバマ大統領と自撮り。その写真はツイッターに投稿されて、多くの人にリツイートされました。しかし、ここでもサムスンが事前に自社とスポンサー契約を結んでいるオルティス選手にスマホの使い方や写真撮影の方法をレクチャーしていたことが発覚し、さらに投稿後はご丁寧に「この写真の撮影に使われたのはわが社のスマホ、ギャラクシーノート3」とコメントを書き込んだことで、ホワイトハウスを揺るがすスキャンダルに発展。大統領を無断で宣伝に利用された政府は当然のごとく激怒し、大統領を商用目的で利用した戦略に法的処置も辞さない構えを見せています。


 しかし、実はそんなオバマ大統領自身も、各国を訪問した際に相手国の首相と自撮り撮影をするなど、自撮りファンの一人。最近では、かのローマ法王までもが自撮りしていたことが報じられるなど、年齢や職業に関係なくみんなが自撮りに夢中なのです。


 当然ながら、そこにビジネスチャンスを見出したのはサムスンだけではありません。下着ブランドのカルバン・クライン・アンダーウェアは、自撮りを利用したキャンペーンを実施。スターやモデルに同社のロゴ入り下着を着用して自撮りしてもらい、その写真をインスタグラムに投稿してもらうというもので、バネッサ・ハジェンズやミランダ・カー、R&Bシンガーのトレイ・ソングスらが参加し、大勢の人がリツイートして話題になりました。今後もセルフィー好きのハリウッドスターを利用したビジネスは、まだまだ拡大することでしょう。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)