ロビン・ウィリアムズさんが自宅で首を吊って自殺したと言うショッキングなニュースが飛び込んできました。「ミセス・ダウト」(93年)など多くのコメディー作品に出演し、コメディアンの印象が強いですが、「いまを生きる」(89年)やアカデミー賞助演男優賞に輝いた「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(97年)など、シリアス・ドラマでも名演技を披露してきたウィリアムズさん。作品ごとに異なる役柄を見事に演じ、どんな役でもこなせる名優として知られていましたが、80年代初め頃からアルコールとコカイン中毒に陥り、長年に渡って依存症と闘っていたといいます。近年は重度のうつ病に苦しんでいたとも伝えられており、心に大きな闇を抱えてもいたようです。

 63歳で自ら死を選んだウィリアムズさんの自殺はハリウッドに大きな衝撃を与えていますが、ハリウッドでは今年2月にフィリップ・シーモア・ホフマンさんがニューヨークの自宅で薬物の過剰摂取で死亡しているのが発見されるというショッキングなニュースもあったばかり。相次ぐ名優の死の背景には、ハリウッドのショービズ界が抱える問題があるのではないでしょうか。

 ホフマンさんは自殺ではありませんでしたが、自宅からは大量の注射器とヘロインが発見され、重度の薬物中毒だったことが判明しました。「カポーティ」(05年)でアカデミー賞主演男優賞に輝き、映画関係者たちから絶大な尊敬と信頼を得ていた名優は46歳と言う若さでその生涯を閉じることとなってしまいました。一度は薬物を絶ったものの、死の数カ月前から再びヘロインに手を染めてしまったのだと言われています。

 ハリウッドでは若くして成功を収めた俳優が、莫大なお金を手に入れたことや第一線で活躍し続けることへのプレッシャー、常に注目され続ける異様な生活や孤独などから薬物やアルコールに依存するケースも少なくありません。中には一度は薬物やアルコール中毒に陥りながらも更生し、見事にカムバックを果たした人もいますが、中には将来を嘱望されながら若くして亡くなってしまった俳優も大勢います。

 「ダークナイト」(08年)で怪演した悪役ジョーカー役で強烈な印象を残したヒース・レジャーもその1人。08年に28歳と言う若さで急性薬物中毒によって急逝しました。「ブロークバック・マウンテン」(05年)の演技が絶賛され、その後も順調にキャリアを積み重ねていましたが、死の直前は不眠症に悩まされており、死因は睡眠薬などの薬物の併用だったと言われています。

 大ヒットドラマ「Glee」のフィン・ハドソン役で知られるコリー・モンティスは昨年7月、静脈注射によるヘロイン使用とアルコール摂取が原因の薬物中毒で31歳で死亡。「スタンドバイ・ミー」(86年)で一躍脚光を浴びたリバー・フェニックスも、若干23歳の若さで薬物の過剰摂取で亡くなっています。このように、ハリウッドでは薬物やアルコールに逃げ場を求めてしまい、その結果として命を落としてしまう悲しい事故が起こっています。また、近年はマイリー・サイラスやジャスティン・ビーバー、リンジー・ローハンと言った若手スターたちの薬物使用も取りざたされており、その行く末を心配する声が上がっています。

 日本でも社会問題になっている薬物ですが、ここハリウッドでもこのような悲劇が続かないように、ウィリアムズさんの死をきっかけに薬物問題への取り組みが強化されることを切に願うばかりです。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)