第87回アカデミー賞授賞式まで3週間を切りましたが、アカデミー賞をより楽しく観るためのトリビアを2週に渡って紹介したいと思います。まずは、アカデミー賞ってどんな賞なの? と言う基本からお楽しみ下さい。

★アカデミー賞っていつから始まったの?

 1929年5月16日にハリウッドにあるルーズベルト・ホテルで開催されたのが最初です。当時は有料で、チケットは5ドルで販売されました。270名ほどが参加したと言われ、「つばさ」と言うサイレント映画が作品賞に輝きました。

★なぜオスカーって呼ばれるの?

 オスカーとは、アカデミー賞受賞者に贈られる金メッキの像の愛称。そのため、「オスカーを手にする」とか「オスカーに輝く」などの表現が用いられ、時にアカデミー賞の俗称として使われることもあります。

★賞金はあるの?

 賞金は一切ありません。受賞者が手にするのは名前が刻印されたオスカー像と、オスカー受賞の名誉のみ。しかし、オスカー受賞の肩書が付けばギャラが倍増すると言われ、結果として高額ギャラと言うボーナスを手にすることができます。オスカーを逃した人には、残念賞としてギフトバックが贈られます。その中身は海外旅行券や高級コスメ、ホテルの宿泊券、装飾品など4万ドル以上の豪華な内容だと言われています。

★オスカー像のお値段は?

 オスカー像は非売品で、転売も譲渡も禁じられています。主催する映画芸術科学アカデミーは、売りに出されたオスカー像は盗品扱いとして1ドルで回収しており、過去にマイケル・ジャクソンが落札した「風と共に去りぬ」の作品賞のオスカー像を没収されたことも。重さは3・86キロで錫と銅の合金の上から金メッキが施されたもので、値段は60ドルと言われています。ちなみにハリウッドのお土産店ではレプリカが10ドル程度で売られています。

★授賞式に招待されるのはどんな人?

 授賞式は招待客のみ参加可能で、一般客は入れません。招待されるのは、その年にノミネートされた人物やその関係者とパートナー、プレゼンテ-ター、前年度の受賞者などが中心。ドレスコードがあり、女性はイブニングドレス、男性はブラック・タイ着用が義務付けられています。

★授賞式会場はどんなところ?

 今年もハリウッドにあるドルビー・シアターで授賞式が行われます。ドルビー・シアターは、旧コダック・シアターで、01年9月にオープンし、その翌年から毎年アカデミー賞の授賞式を行っています。普段はミュージカルやコンサートなどが行われており、有料の内部見学ツアーもあります。ツアーではテレビ中継では観ることのできないバックステージを見学できる他、誰がどの席に座ったかなども教えてもらえます。

★どんな人が審査するの?

 映画芸術科学アカデミーの会員が、前年の1月1日から12月31日までに全米で連続して1週間以上劇場公開された作品を対象に審査。会員名簿は非公開だが、大半はハリウッドの業界関係者で、俳優、監督、プロデューサーらで構成されており、約5700人の会員がいると言われている。

★日本関係のノミネートと受賞

 近年では「ラストサムライ」(03年)の渡辺謙や「バベル」(06年)の菊地凛子の助演賞ノミネートや02年に宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が長編アニメーションを、「おくりびと」(08年)が外国語作品賞を受賞したことなどが記憶に新しいですが、実はもっと古くから色々な方々が受賞、ノミネートされています。1951年、黒沢明監督の「羅生門」が名誉賞を受賞したことを皮切りに、54年に「地獄門」が、翌55年に「宮本武蔵」が名誉賞に輝いています。俳優としては、ナンシー梅木が57年に日本人として初めて「サヨナラ」で助演女優賞を受賞。同じ年に早川雪州が「戦場にかける橋」で助演男優賞にノミネートされました。その後も黒沢監督の「乱」でワダ・エミが衣装デザイン賞を受賞するなど、衣装や美術/装飾部門、撮影賞、外国語作品賞などでたくさんの日本人がノミネート&受賞をしています。

★最多ノミネート&受賞

 史上最多ノミネートは「イヴの総て」(50年)と「タイタニック」(97年)の14部門。最多受賞は「タイタニック」と「ベン・ハー」(59年)とノミネート全部門で受賞した「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(03年)の11部門です。個人の最多受賞は、名誉賞も含めて生涯で26個のオスカーを手にしたウォルト・ディズニー。演技者としては、キャサリン・ヘップバーンの主演女優賞4回が最多となっています。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)