〈 本日のごのへのごろく 「万病の 元をロカボで 予防する」〉

 ちまたに溢れる様々なダイエット。「朝食で血糖値が上がっても、1日のうちで消費されるから、どんなに上げても構わない」あるいは「夕食で血糖値を上げるのが1番太るから、夕食は抜いたほうがいい」なんてことを言っている人がいました。これ、どちらもアウト。今回は、ダイエット編第17回「血糖値スパイク」です。

都内レストランでゆで卵を持って自撮りをする五戸美樹。外食でも低糖質とタンパク質をしっかり摂ることを心がけています(2017年8月)
都内レストランでゆで卵を持って自撮りをする五戸美樹。外食でも低糖質とタンパク質をしっかり摂ることを心がけています(2017年8月)

 ■危険な「血糖値スパイク」とは■

 朝食は3食の中でも最も血糖値が上がりやすいため、糖質量に気をつけたほうがいいということ、そして朝食を抜くと、次の食事で血糖値が跳ね上がるので、抜いてはならない、ということを前回お伝えしました(7月31日更新の第16回)。

 毎食後、血糖値は上昇します。しかし、食後の血糖値を過剰に上昇させるのは危険です。この、普段は正常な血糖値が、まるで“針”のように急上昇する現象を、去年10月放送の『NHKスペシャル』が「血糖値スパイク」と名付けました(「スパイク」=先の尖ったものの意)。

 ■異常に気付かない1400万人■

 食事を食べたすぐ後の短時間にだけ血糖値が過剰に上昇し、時間が経つと正常値に戻るため、通常の健康診断では異常と判断されません。それが、『NHKスペシャル』の最新調査で、1400万人以上の日本人に「血糖値スパイク」が生じている可能性があると報じられました。

最近作ったタンドリーチキン。朝ごはんもお肉モリモリ食べます
最近作ったタンドリーチキン。朝ごはんもお肉モリモリ食べます

 ■がんなど引き起こす万病の元■

 「血糖値スパイク」はそれだけで、酸化ストレスで老化現象を進行させ、発がんの元となる物質を作り、体内の重要な血管を傷つけ、脳梗塞や心筋梗塞などによる突然死のリスクを高めてしまいます。

 ■いつ何時も過剰な上昇はNG■

 そのため、朝でも昼でも夜でも、血糖値スパイクを起こしてはいけない、つまり、過剰に血糖値を上げてはならないんです。

 話を戻しますと、朝だろうが何だろうが、「血糖値をどんなに上げてもいい」は完全にウソ。科学的に言って危険。血糖値は毎食気をつけるべきなんです。

取材にご協力いただいた山田悟先生
取材にご協力いただいた山田悟先生

 ■インスリン分泌が正常ならOK■

 なお、子ども~20代はインスリン分泌が正常で、どんなに菓子パンを食べても食後血糖値がフラット、という方が多いです。ただ、私の知人には20代でもう血糖値スパイクの人がいます。若ければ絶対に大丈夫とは言えないので、一度食後血糖値を測ってみることをお勧めします。

 ■ロカボで血糖値スパイク予防■

 「血糖値スパイク」を防ぐには、「ロカボ」(注1)の食事をするのがお勧めです。ロカボなら、血糖値の上下動はゆるやかになります。そしてそれはそのままダイエットになります。(4月27日更新の第5回「ダイエットとは食後の血糖値を上げないようにすること」参照のこと)

ファミリーマートで購入したカルビー『フルグラ 糖質25%オフ』1食分(50g)は朝ごはんにぴったり(2017年8月)
ファミリーマートで購入したカルビー『フルグラ 糖質25%オフ』1食分(50g)は朝ごはんにぴったり(2017年8月)

 また、夕食もロカボである限り、血糖値の過剰上昇は起こらないので、抜く必要はありませんし、夕食を減らすことで、朝食をたくさん食べたくなってしまったら、そのほうが怖いです。 (次回ダイエット編は第18回「検証・夕食は太りやすいのか」の予定です)

【五戸美樹】(日刊スポーツ・コム芸能コラム「第50回・元ニッポン放送アナウンサー五戸美樹のごのへのごろく」)

 注1)「ロカボ」は、“ローカーボハイドレート”の略で、“ロー(低い)+カーボハイドレート(糖質)”のこと。1食の糖質摂取を20g~40g、1日70g~130gにする、ゆるやかな糖質制限。目安はコンビニのおにぎり1個で糖質40g。

 【参考図書】山田悟先生の著書『ロカボで食べるとやせていく』(幻冬舎)。山田先生監修『世にも美味しい「ゆるやかな糖質制限ダイエット」』(世界文化社)。山田先生の新著書『90日で健康的にやせる! ゆるやかな糖質制限ダイアリー』(家の光協会)、『カロリー制限の大罪』(幻冬舎新書)。

 ◆山田悟(やまだ・さとる) 1970年、東京生まれ。1994年慶應義塾大学医学部卒業。2002年から北里大学北里研究所病院勤務。同病院医療連携室室長、糖尿病センター長、医学博士。一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立、代表理事を務める。日本における糖質制限の第一人者。「ロカボ」の名付け親。「糖質制限の真実」(幻冬舎)をはじめたくさんの書籍を出版、メディアにも数多く登場。