ジャニーズ事務所に所属するタレントが出演する舞台がめじろ押しです。現在、滝沢秀明、三宅健が出演する「滝沢演舞城」(新橋演舞場)、戸塚祥太が主演する「ディファイルド」(青山クロスシアター)が上演中で、4月26日には塚田僚一主演「サクラパパオー」(さいたま芸術劇場、東京国際フォーラム)、同27日からふぉ~ゆ~主演、錦織一清演出「23階の笑い」(博品館劇場)、5月7日には横山裕主演「上を下へのジレッタ」(シアターコクーン)、同12日からは風間俊介主演「黒塚家の娘」(シアタートラム)と続きます。

 ジャニーズの人気者の舞台というと、集客力を期待しての大劇場公演が多かったのですが、最近はより密度の濃い小劇場公演が増えてきました。青山クロスシアターは客席数180、シアタートラムは同220、博品館劇場は同380と、舞台と客席が近い、こじんまりとした劇場です。

 特に「ディファイルド」は、出演が戸塚と勝村政信の2人だけという緊密な2人芝居で、小劇場にぴったりの作品です。00年に米ロサンゼルスで初演された時、出演したのは「刑事コロンボ」でおなじみのピーター・フォーク、01年の日本初演は大沢たかお、長塚京三のコンビでした。

 勤める図書館の目録カードが破棄され、コンピュータの検索システムに変わることに反対し、図書館を爆破すると立てこもる司書の男と、思いとどまらせようと説得にあたる定年間際の刑事の緊迫したやりとりが見どころです。戸塚はこれまでも、大劇場の新橋演舞場でつかこうへい作「熱海殺人事件」「広島に原爆を落とす日」「寝盗られ宗介」に主演し、卓越したせりふ術の持ち主です。今回も手書きの目録カードを愛する男を演じ、カードが急激に失われる古き良きもののシンボルであることが伝わってくる、熱演でした。

 「サクラパパオー」は痛快なラストが待つ鈴木聡作の舞台で、「23階の笑い」は米の喜劇作家の大御所ニール・サイモン作品です。「上を下へのジレッタ」は手塚治虫の幻の名作漫画を舞台化した倉持裕の新作で、「黒塚家の娘」は能「黒塚」をもとにした北村想のファンタジーホラーです。塚田、ふぉ~ゆ~、横山、風間がどう挑んでいくのか、楽しみです。【林尚之】